※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
マルティニティー会長夫妻と女子の五輪採用に尽力したFILA副会長の福田富昭・日本協会会長
IOCでは五輪の肥大化防止のため、五輪における全競技での実施種目(金メダルの数)や参加選手数を増やさない方針で、2000年シドニー五輪以降の実施種目数は、300(2000年)、301(2004年)、302(2008・12年)と横ばい。参加選手数は約1万1000人から増えていない。
FILAでは、2004年アテネ五輪で女子4階級が採用されたあと、3スタイルとも7階級での実施をIOCに要求してきた。2009年のIOC理事会にて、「現在行われている18階級(男子各7階級、女子4階級)の中で調整するのであれば、女子の階級増を認める」との回答があったが、3スタイル21階級の実施は却下。階級増が厳しい状況であることに直面した。
しかし、その際に「新たな動きがあった場合には階級増を認める」といった“条件提示”があったもよう。マルティニティー会長は、「FILAの加盟国はこの5年間に、130ヶ国から183ヶ国に増えている。イランを除いたすべての国が女子の7階級実施を求めている」と、女子レスリングの世界的な普及を“新たな動き”ととらえ、IOCと交渉していくという。
ロンドンでは顔や肌を露出し自国選手を応援するイラン女性。なぜ女子レスリングが認められないの?
マルティニティー会長はこれまで、当初は女子の実施がなかった2005年ユニバーシアード(トルコ)や2006年アジア大会(カタール)で、交渉の末に女子の実施を実現。来年7月のユニバーシアードも、当初はベルトレスリングのみに実施だったが、3スタイルの実施を勝ち取るなど、すぐれた交渉力を持っている。
スピードスケーターのような女子シングレットを認めてでも、五輪の女子7階級実施を目指す同会長の手腕に期待したい。