2011.09.06

間もなく決戦の地へ向けて出発…男子全日本チーム

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 8月1日から東京・味の素トレーニングセンターで合宿を続けていた男子両スタイルの全日本チームは9月5日、練習を報道陣に公開。12日から始まる世界選手権(トルコ・イスタンブール)へ向けての調整具合を披露した。

 男子両スタイルの日本代表は全員そろって練習し、ケガなどでの離脱者はゼロ。今年は、今まで以上に世界で勝つための練習に取り組んできた。7月下旬の菅平で基礎体力合宿を行ったあと、8月から40日間の合宿を張った。
 
 佐藤満・男子強化委員長(専大教)は「世界選手権へ向けてだいぶ追い込んでやってきました。今は疲労を取り除きつつ調整しています」と全体の状況を報告。7月の菅平合宿で右ひじのじん帯を損傷していた2009年フリースタイル66㎏級銅メダリストの米満達弘(自衛隊)はスパーリングができる状態まで回復し、試合に間に合うことや、他の選手もそれぞれ小さなけがはあるものの、世界選手権にピークが来るように調整ができていることも話した。
 
 男子の五輪出場資格獲得の目標は、「(最低でも)フリースタイル3つ、グレコローマン2つの計5つ」と佐藤強化委員長。「今回の世界選手権はレベルが高いだろうし、楽観はしてない」と気を引き締めたが、その中で金メダルは「1、2個は取りたい」と、1982年以来の世界王者輩出へ意欲を見せた。
 
 今回、全日本チームの秘密兵器は「iPad」だ。代表全員にiPadを無料で貸し出し、その中にモチベーションを上げるためのビデオを収めた。“モチベーションビデオ”の内容は、五輪14大会連続メダルを獲得している日本レスリングの歴史から、現ナショナルチームのトレーニング風景などを編集して収めたビデオ。それを繰り返し見ることで「自分たちはここまでやったんだ」という自信をもたせることが目的だ。

 ビデオの中には、「栄光の軌跡」「守れ伝統」「夢の実現」「信じろ自らの努力を」「勝ち獲れ栄光」という文字を織り交ぜて、選手たちに効果的にメッセージが伝わるようにした。そのiPadにはもちろん、JISSのビデオライブラリーのデータも入れ込んである。
 
 ビデオライブラリー施設は数年前からサービスを行い、モチベーションビデオは昨年も作成しDVDで配布したが、視聴方法は各個人に委ねられていた。今回は最新機器を導入して、選手が簡単に、いつでもどこでも見れるように配慮した。

 合宿は10日までで、7日にグレコローマン・チームは日本チームのの第一陣としてトルコへ向けて出発する。

(文=池田安佑美)