※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
妹の優勝を見届け、両手に顔をうずめた姉・千春さん
五輪3連覇については、「すごいことですよね。簡単にできることではないですよね」と笑みを浮かべたあと、「馨はすごいです」-。
自身は2年半前に現役を退いた。歩む道は違っても、「いつも気持ちは一緒だと思っていました。4年間、見守ってきました」と二人三脚を強調。妹がロンドンへ向かう前に手紙を送ったそうで、「いつでも、どんな時でも一緒だよ」という内容だったという。
もっとも、この手紙を送るにあたって悩んだという。「アテネ、北京と姉妹で金メダルを取るとしてやってきましたけど、『一緒』ということで、不安とかプレッシャーになっていたんじゃないかなあ、と。でも、いくら考えても、『一緒』という言葉以外に思い浮かばなかった。それを素直に書きました」と言う。やはり、「2人で取った金メダル」という思いが強いようだ。
■初戦に勝って、あとは安心…父・春行さん
伊調の父・春行さんは「やっと、何とか取れました」とあっさり第一声。女子史上初の五輪3連覇の偉業だが、「馨はあまり気にしていなかったんですよ。今日の試合を勝つことだけを考えていたと思います。それがよかったんじゃないですかね」と、さらりと流した。
娘の五輪3連覇に喜ぶ父・春行さん
それだけに、勝利を願う気持ちは強かった。初戦の相手が最大のライバルということは聞いていたようで、「緊張しました。馨も勝負だと思ったんじゃないでしょうか。第2ピリオドのラスト数秒で追いついて馨らしく勝ってくれて、あとは安心して見ていました」と、表情がゆるんだ。
伊調を子供の頃に指導した青森・八戸クラブの沢内和興代表は「やる気になれば、オリンピック4連覇もできる」と、その強さに太鼓判を押した。気が早いが、五輪4連覇の可能性を問われるると、「(そう言ってもらえるのは)うれしいことですね」と笑いながら、「本人が決めること。引退しろとか、続けろとか、4連覇を目指せ、とかは一切言いません。『もういい』と言えば、それでいい。どっちにしても応援するだけです」と話した。
母・トシさんは「最高の試合でした。応援ありがとうございました」と、多くの人の支援に感謝した。