※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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アジア競技大会レスリング競技第2日は11月22日、中国・広州の華工体育館で男子グレコローマン3階級が行われ、74㎏級の鶴巻宰(自衛隊)が決勝で今年の世界選手権3位のダニヤル・コボノフ(キルギス)にストレートで敗れたものの、銀メダルを獲得した(右写真)。初日と合わせてグレコローマンチームは4個目のメダル。前回のドーハアジア大会「3個」を上回った。
鶴巻の初戦は昨年世界3位のファルシャド・アリザデフ・カレケシュ(イラン)。第3ピリオドを逆転で勝って波に乗り、準決勝まで攻守が上手くかみ合って国際大会で自身初となる決勝進出を決めた。
決勝のコボノフとは3度目の対戦。鶴巻は得意のグラウンドに勝負を持ち込んだが、第1ピリオドは守られ、第2ピリオドは0-5とストレートで敗退した。敗れはしたが、国際大会で7つの銅メダルを獲得している鶴巻にとって初の銀メダルとなった。
5月のアジア選手権84㎏級銀メダルの斎川哲克(両毛ヤクルト販売)は、初戦でアジア選手権3位のヤナルベク・ケンジエフ(キルギス)にストレートで敗退。アジア選手権初戦で勝った相手にリベンジされてしまった。ケンジエフが2回戦で敗れたため、敗者復活戦にも回れず終了。
96㎏級の北村克哉(ドン・キホーテ)は、初戦でトルクメニスタンの若手に2-1で勝利したが、2回戦のアザマート・エリチンバエフ(キルギス)にストレートで敗退。エリキンバエフが決勝に進めず、北村の銅メダルへの道も断たれた。
各試合結果は下記の通り。
【74kg級】鶴巻宰(自衛隊) 2位=13選手出場
■1回戦 ○[2-1(1-0,2-0,3-1)]Alizadeh Kalehkesh Farshad(イラン)
《試合経過》スタンドは終始、組んで離れてを繰り返して動きなく終了。第1ピリオドは赤の鶴巻が攻撃し、残り10秒で、持ち上げからニアフォールで2点。納得しない青がチャレンジしたが受け入れられず、1点追加で3-0。第2ピリオドのグラウンドは、青のイランが攻撃。残り17秒でローリングを受けて2失点。第3ピリオドへ。第3ピリオドのグラウンドは鶴巻が防御を選択したが、残り20秒で痛恨のローリングを受け万事休す。だが、残り6秒に起死回生の一本背負いで3-1と昨年世界3位に競り勝った。
■2回戦 ○[2-0(1-0,2-0)]Daler Karimov(タジキスタン)
《試合経過》第1ピリオドのグラウンド、優先権は赤で鶴巻は防御に回る。リフト技を上手く交わしたが、レフェリーが「足で止めた」と判断。でもチェアマンは認めず。そのアクションは0点となり、鶴巻が逃げ切って1点。第2ピリオドは、1分4秒に鶴巻が押し出して1点。グラウンドでも1点を奪って2-0で勝った。
■準決勝 ○[2-1(1-0,0-2,1-0)]Azizbek Murodov(ウズベキスタン)
《試合経過》第1ピリオドは0-0でグラウンドへ。強烈なグラウンドを2度受けて0-3で落とす。第2ピリオドもグラウンド戦。青の鶴巻が攻撃。ローリングを1本決めてスタンドへ。第3ピリオドのグラウンドは赤のムルドフが攻撃を選択。鶴巻はスタンドへ戻して無失点に切り抜けて、決勝へ駒を進めた。
■決勝 ●[0-2(0-1,0-4)]Daniyar Kobonov(キルギス)
《試合経過》 第1ピリオド、青のコボノフが組みつき、投げを警戒した鶴巻が離れるというスタンド戦。両者無得点のままグラウンド戦へ。攻撃は赤の鶴巻だが、コボノフに立たれてしまって30秒経過。第2ピリオド、けんか四つの状態でコボノフが組みついてくるがノーポイント。グラウンドは青のコボノフが攻撃でクロス・ボディ・ロックから開始し、コボノフのがぶり返しが2度決まって4-0。日本陣営は、2度目のがぶり返しの前に鶴巻のニアフォールが有効だとしてチャレンジを行うが、失敗に終わって0-5の大差で敗れた。
【84kg級】斎川哲克(両毛ヤクルト販売) 11位=14手出場
■1回戦 ●[0-2(0-3,0-3)]Janarvek Kenjeev(キルギス)
《試合経過》 開始早々、相手のプレッシャーでしりもちをつきそうになる。1分23秒、相手に押されて反りにいったが失敗し1失点。グラウンドでもローリングを受けて0-3と落とす。第2ピリオド、15秒で両ざしなどで攻められるがスタンドは無失点。青のケンジーブの攻撃でグラウンドを開始。ローリング2発受けて0-3とされ、5月アジア選手権の初戦の相手にリベンジされてしまった。
(ケンジエフが2回戦で敗れたため、敗者復活戦なし)
【96kg級】北村克哉(ドン・キホーテ) 7位=12選手出場
■1回戦 ○[2-1(0-1,1-0,1-0)]Arslan Saparmamedov(トルコメニスタン)
《試合経過》第1ピリオドのスタンドは得点なし。グランドは赤の北村が攻撃。2度ほどローリングをかけるが決めきれず。
第2ピリオド、差すなどしていい形に持ち込んだ1分13秒、両ざしから相手を場外に出して1点獲得。第3ピリオド56秒、投げの打ち合いに勝って相手を押し倒して1点。そのまま逃げ切った。
■2回戦 ●[2-0(2-1,2-0)]Azamat Erkimbaev(キルギス)
《試合経過》 第1ピリオド、赤の北村が攻撃したが無得点でピリオドを落とす。第2ピリオド、開始15秒に相手の首投げが一閃! 3点を失う。ディフェンスから始めたグラウンドはスタンドに戻したが、得点できずに試合終了。
(エリキンバエフが準決勝で敗れたため敗者復活はなし)