※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
新型コロナウイルス感染拡大でマスクの品薄が続く中、栃木・足利工大附属高校=現足利大附属高校~専大でレスリング、現在は栃木・那須塩原市で格闘技ジム&接骨院を経営する高野剛さん(43歳)が、マスク制作と配布、物々交換でマスクを集め市に寄付する活動を開始。「与え合い、助け合う」のプロジェクトは好評で、地元メディア、テレビ放送でも取り上げられ、全国的広がりを見せている。
高野さんは、1976・77年にチームを全国一に育てた大島大和さんが率いた足利工大附高で活躍した選手。1994年のインターハイでは、学校対抗戦で準優勝。個人戦でも54kg級で準優勝。この時、準決勝で勝ったのが、現在の全日本男子グレコローマン・コーチの豊田雅俊(警視庁=当時徳島・穴吹高)、決勝の相手が全日本男子フリースタイルの井上謙二・強化委員長(自衛隊=当時京都・網野高)。
専大でレスリングを続けたあと総合格闘技、ブラジリアン柔術の黒帯も取得。2005年、ニュージーランドに海外移住し同国のレスリングチャンピオンに4度輝いた。
海外生活を経て2012年に帰国、地元の那須塩原市に「格闘技ジムFC Y’s」をオープン。スポーツ少年団も主宰し、キッズレスリング選手の育成にも力を入れている。
足利大学附属高の石川利明監督を顧問に置き、同高OB数人がレスリングのコーチを務めている。「レスリングを通じて心体の育成・仲間作りなど、人間形成に必要なことを学ばせたい」と設立動機を話す。
全国非常事態宣言で休業要請が発令され、格闘技ジムは当面休業を余儀なくされたが(接骨院は営業継続)、感染防止対策を起こしたいと考えた高野さんは、元手芸店主であるジムの大家の大武ツヤ子さんのことが脳裏によぎった。裁縫は“本職”なので、「一緒にマスクを作りましょう!」と声をかけると快諾してくれた。
「マスクを制作し必要な人に渡す」。高野さんがマスクの材料を自費で集め、大武さんが製作。これまでに800枚ほど作り配布をしている。
「Giving Mask Project」は、SNSで拡散され、地元新聞やメディア、テレビからも取材を受け、北海道から九州まで10都道府県でその輪が広がっている。
大武さんの力だけでは限界がある。そこで新たな活動をスタートさせた(Power Of People NASUSHIOBARA)。高野さんが自費で購入したトイレットペーパーや品物とマスクの物々交換を求め、集めたマスクを那須塩原市を通じて必要な場所に配布する。こちらは裁縫の技術がなくてもできるので、賛同者・協力者を求めているという。
すでに、母校OB会や知り合いの商店・企業から数多くのマスクが物々交換、寄付されているという。
那須塩原市の渡辺美知太郎市長は、地元メディアの取材に対し「(市には)在庫は正直言って、ないという状況。苦しい時だからこそ、心の温かみを感じられる。非常に感謝しています」と話している。
■足利大学附属高校・石川利明監督の話「当校レスリング部OBの活躍を嬉しく思います、レスリングを通じて社会貢献が出来る人材を育てたい」
栃木県は2022年に国体が予定され、レスリングは足利市民体育館で予定されている。「こうした活動を通じ、レスリングが脚光を浴びてくれればいいですね」。全国のレスリング同志に呼びかけ、社会貢献を通じて“レスリングの輪”を広めたい思いだ。
■格闘技ジムFC Y’s ⇒ クリック / 高野代表フェイスブック ⇒ クリック
■Giving Mask Project(マスク制作&配布) ⇒ 案内 / 地元新聞 / You tube動画
■Power Of People NASUSHIOBARA(物々交換) ⇒ 案内