2011.08.31

【全日本学生選手権・特集】女子48kg級・入江ゆき(九州共立大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 全国高校女子選手権で2連覇し、新興大学へ進んだ入江ゆき(九州共立大=右写真)が1年生にして全日本学生選手権48kg級で優勝。レスリング界に「九州共立大」の名前を知らしめた。

 今年3月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)では前年世界5位のポーランド選手を破って優勝しており、その実力をもってすれば優勝も当然かもしれないが、2010年アジア選手権2位の三村冬子(日大)、昨年の世界学生チャンピオンの明尾弥紀(環太平洋大)に勝っての優勝とあっては、“殊勲”という言葉を使ってもおかしくあるまい。

 「優勝できて、とてもうれしいです」。うれしすぎるからなのか、当然と思っているからなのかは分からないが、ありふれた言葉で喜びを表した入江は「いっぱい練習してきたので…」と、練習量こそが優勝の原動力と言わんばかり。年上の選手相手の試合ばかりだったが、臆することは「なかったです」ときっぱり。

■少人数のチームながら、自覚を持って練習

 「練習量」と言っても、今年から女子がスタートした九州共立大の場合、女子選手は1年生4人だけ。人数もさることながら、上級生がいない状況であるので、よほど自覚をもって練習していなければ、練習量を優勝の原動力に挙げることはないだろう。

 それに関しては「自分で考えて練習してきました」と言う。時に出身校の小倉商高に練習に出向き、後輩を相手に「追い込んだ練習をしています」とも。今年の全日本選抜選手権3位によって全日本合宿にも参加し、吸収すべきことを最大限に吸収し、小所帯であるにもかかわらず実力をアップさせたようだ。

 全日本合宿ではチャンピオンの坂本日登美選手(自衛隊)とも練習し、生活をつぶさに見ている。「力強いことのほか、食事にもすごく気をつかっていて、すべてが勉強になります」と、マットの上だけが実力アップの場ではないことも学んだ。

 12月の全日本選手権では、その坂本との対戦も考えられる。「自分の試合のビデオを見て弱点を研究し、勝ちたいです」と、控えめながらも打倒坂本を宣言した。

 同大学にレスリング部をスタートさせた藤山慎平コーチは「(女子)4選手では少ない。最低でも10選手くらいまで増やし、世界で通じる選手を育てない。刺激されて男子も頑張ってくれるでしょう」と、今後の男女の飛躍を誓った。