※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
今月初めにロシアへ遠征し、その後、ポーランドのラチブシュで行われた「ピトラシンスキ国際大会」に出場して優勝した男子グレコローマン96kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)が6月26日、成田空港着のアエロフロート航空で帰国した。
男子グレコローマンの90kgを超える階級の選手が国際大会で優勝するのは快挙と言っていい。かつては、90kg級の森山泰年や100kg級の近藤務(ともに自衛隊)らがアジアの大会で優勝するなどしているが、グレコローマンの本場、ヨーロッパの大会での優勝は例がない。
まして、昨年の世界選手権3位のロシア選手を破っての優勝。日本のレスリング界ではなかなか見えてこなかったグレコローマン重量級の五輪でのメダル獲得の可能性が出てきたといえる優勝だ。斎川は「あまり勝とう勝とうとは思わずにいきました。長い海外合宿の成果が出ました」と勝因を語った。
大会出場に先立って参加したロシアのナショナル・チームとの合宿をしっかりとこなしたことが、この結果につながったようだ。「日本だと、重量級の場合は1階級にいる選手が少なく、練習相手が不足という状況です。ロシアでは1日では相手にし切れないほどの人数がいます。課題のグラウンドも練習の段階でたっぷりできました。今まではロシア選手に引け目がありましたが、合宿で練習を重ねるうちに慣れました。本当に実のある合宿ができ、自信がつきました」と話し、ロシアでの合宿によって技術的、精神的に大きく成長したようだ。
4年前の北京五輪では、加藤賢三(自衛隊)がこの階級に出場し、しばらく閉ざされていたグレコローマン重量級の五輪出場を実現した。今度はメダル獲得を実現する番。世界3位を破った斎川のロンドン五輪での活躍が期待される。
(取材・撮影=山内猛)