※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【女子55kg級 準決勝】
吉田沙保里(ALSOK=赤)○[2-0(TF7-0=1:22,TF6-0=1:46)]●村田夏南子(JOCアカデミー/東京・安部学院高)
国内外で無敵の快進撃を続ける吉田沙保里(ALSOK)。この大会前までに国内外16試合連続で無失点勝利を続けており、危なげない試合が続いていた。しかし、一瞬のすきが命取りとなるレスリングでは、何が起こるか分からない。準決勝、17歳の村田夏南子戦で、フォールの体勢に持ち込みながら村田の驚異的な粘りに遭い、次の瞬間、体勢を立て直した村田に押さえ込まれるシーンが(下写真)。
吉田のテクニカルフォール(7-0)が成立したあとの出来事であったが、それに気がつかなかったレフェリーとジャッジは当初、ニアフォールの2ポイントを挙げ、カウントを開始。会場内は歓声と悲鳴が入り混じり、一時騒然となった。
結果だけを見れば、2ピリオドとも吉田がテクニカルフォールで勝っての圧勝だが、吉田の心には、フォールの体勢に追い込みながらも、あきらめることなく粘り、反撃を試みた村田の存在が、ほんのわずかでも脅威になったのではないか。今後の躍進、そしていつの日にかの“打倒吉田”を暗示するかのような村田の奮戦だった。(撮影=矢吹建夫) 《
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