※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ジャカルタ(インドネシア)、文=増渕由気子、撮影=布施鋼治】アジア大会のレスリング競技第2日は8月20日、インドネシア・ジャカルタで男子フリースタイル125kg級と女子の4階級が行われ、女子50kg級の入江ゆき(自衛隊)が銀メダル、他の女子3選手が銅メダルを取った。
入江は準決勝で昨年の世界選手権48kg級3位のキム・ソンヒャク(北朝鮮)に13-4で勝って決勝へ進出。3月のアジア選手権(キルギス)の準決勝で敗れているベニッシュ(インド)との再戦となり、ニアフォールへ追い込まれるなど劣勢を覆せず2-6で黒星。銀メダルに終わった。
2016年リオデジャネイロ・オリンピック63kg級金メダリストの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は62kg級に出場し、初戦の2回戦は難なく勝ち抜いたが、伊調馨に勝ったこともある昨年の62kg級世界チャンピオン、オーコン・プレブドルジ(モンゴル)に準決勝でまさかのフォール負け。川井にとって約3年ぶりの敗戦で3位決定戦に回り、ベトナムの選手にテクニカルフォール勝ちをおさめたが、オリンピックに続いての総合大会金メダルはならなかった。
昨年55kg級で世界選手権初出場初優勝を飾り、この大会は53kg級に出場した奥野春菜(至学館大)は、準決勝で今年のアジア選手権優勝のパク・ヨンミ(北朝鮮)に7-7のスコアながらラストポイントによって敗れた。3位決定戦では台湾の選手に完勝し、初出場で銅メダルを獲得した。
57kg級の坂上嘉津季(ALSOK)は、初戦でアジア選手権53kg級3位で階級を上げてきたヨン・ミョンスク(北朝鮮)に敗れて敗者復活戦へ。3位決定戦との2試合を勝ち抜いて銅メダルを手にした。
3大会連続出場の男子フリースタイル125kg級の荒木田進謙(athletic camp LION)は1回戦で山梨学院大卒業のオレッグ・ボルチン(カザフスタン=ブシロード)と対戦し、0−1で惜敗。敗者復活戦に回れず2大会連続のメダル獲得はならなかった。
各選手の成績は下記の通り。
【125kg級】荒木田進謙(athletic camp LION) 10位=13選手出場
1回戦 ●[0-1]Boltin, Oleg(カザフスタン)
《試合経過》第1ピリオドの中盤、ボルチンが前にプレッシャーをかけて荒木田が場外へ。お互いに手の内を知り尽くしているからか、技の展開が見られず、最初の1点が勝負を決めた。
【50kg級】入江ゆき(自衛隊) 2位=11選手出場
決 勝 ●[2-6]Vinesh, Vinesh(インド)
《試合経過》開始30秒、相手の力強いタックルからニアフォールに持ち込まれて6失点。なんとかフォールを逃れてスタンドへ。第2ピリオド、反撃に出た入江は30秒ルールで1点を返し、終盤にも場外ポイントを奪うが逆転には至らず、金メダル獲得はならなかった。
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準決勝 ○[13-4]Kim, Son-Hyang(北朝鮮)
《試合経過》先制は北朝鮮で0−4とリードされる。第1ピリオドの終盤、入江が反撃。タックルで2点。さらに片足タックルから相手を場外へ押し出して1点。3−4で折り返し。第2ピリオドも入江が何度も仕掛ける。投げ技の4点、タックルの4点技が次々と決まり、相手を突き放して13−4で逆転勝利を飾った。
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2回戦 ○[フォール、1:02=8-0]Settiawati, Eka(インドネシア)
《試合経過》開始早々テークダウンを奪ってニアフォールに持ち込み、4点を獲得。さらに4点技で8−0としてそのまま抑え込んだ。
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1回戦 BYE
【53kg級】奥野春菜(至学館大) 3位=13選手出場
3決戦 ○[フォール、2:19=6-0]Chiu, Hsin-Ju(台湾)
《試合経過》第1ピリオド、奥野はタックルを外されるが、たくみにバックに回って2−0。その後、相手のタックルを受け止め、再びバックに回って追加点を重ねる。最後は正面タックルを決めてからエビ固めに丸め込み、会心のフォール勝ちを収めた。
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準決勝 ●[7-7]Pak, Yong-Mi(北朝鮮)
《試合経過》30秒ルールで奥野が先に先制したが、第1ピリオド終盤にバックを奪われ、アンクルホールドを決められ4失点。第2ピリオド、奥野はカウンターを決めて2点を返すが、バックを奪われて差を広げられる。残り1分、タックルからニアフォールに持ち込み4点を挙げて逆転に成功したが、残り3秒で場外に出てしまい7−7。ラストポイントで決勝進出を逃した。
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2回戦 ○[4-1]Pang, Qianyu(中国)
《試合経過》序盤から相手が指を再三つかむ反則を仕掛けてきたので、奥野は思うような攻撃を仕掛けることができない。0-1でリードされたまま第2ピリオドを迎えたが、タックルとバックポイントで小刻みに得点を重ね、4−1で辛勝した。
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1回戦 ○[Tフォール、3:32=10-0]Eshmuratova, Sevara(ウズベキスタン)
《試合経過》開始30秒、バックを奪ってグラウンドで加点。さらに相手を落としてバックに回って2点。最後はタックルを決めて10−0でテクニカルフォール勝ち。
【57kg級】坂上嘉津季(ALSOK) 3位=12選手出場
3決戦 ○[6-1]Dhanda, Pooja(インド)
《試合経過》30秒ルールで先制されて第1ピリオドは0−1で終了。坂上は第2ピリオドの中盤に2点を奪い、さらにバックポイントや相手の投げ技をつぶしてバックを奪うなど得点を重ね、6−1で銅メダルを獲得。
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敗復戦 ○[Tフォール、4:29=11-0]Tissina, Emma(カザフスタン)
《試合経過》序盤からタックルで得点を重ね、第2ピリオドになっても一方的にタックルやローリングで攻めてテクニカルフォール勝ち。
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1回戦 ●[6-9]Jong, Myong-Suk(北朝鮮)
《試合経過》開始早々、北朝鮮が豪快なタックルを決めて坂上が2失点。さらに30秒ルールで1失点と3点のビハインドで折り返し。第2ピリオドは坂上が反撃に出て、タックルから投げて4点と逆転に成功。一気に流れをつかんだと思われたが、場外際の攻防で北朝鮮からチャレンジがあり、それが成功。そこからが再び流れが北朝鮮になり、終盤の坂上の反撃もカウンターで返されて6−9で敗れた。
【62kg級】川井梨紗子(ジャパンビバレッジ) 3位=11選手出場
3決戦 ○[Tフォール、2:58=10-0]Nguyen, Thi My Hanh ((ベトナム)
《試合経過》開始40秒、片足タックルからテークダウン。2本目のテークダウンを奪って4−0。さらにスタンドから相手を振ってテークダウンを奪うなど、一方的に攻めてテクニカルフォール勝ちを収めた。
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準決勝 ●[フォール、3:47=2-2]Purevdorj, Orkhon(モンゴル)
《試合経過》第1ピリオドの中盤に川井がバックに回って2点を取って先制。第2ピリオドの序盤に、アンクルピックから持ち上げられて川井は尻もち。そのまま抑え込まれてフォール負け。
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2回戦 ○[Tフォール、2:45=12-1]Hang, Jungwon(韓国)
《試合経過》川井は立ち上がりから相手に圧力をかけ、場外ポイントでコンスタントに加点。組み手で崩してバックに回り込んでローリング。相手の投げもつぶしてバックポイント。さらにタックルからローリングを決めてテクニカルフォール勝ち。
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1回戦 BYE