※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=八木賢太郎、撮影=増渕由気子)
インターハイ女子57kg級は、稲垣柚香(愛知・至学館)が永本聖奈との同門決勝を4-2で制し、2年生チャンピオンに輝いた。
どちらも四日市ジュニアでレスリングを始め、稲垣が1歳下。中学時代にチームが分かれたが(稲垣が一志ジュニア、永本が四日市ジュニア)、昨年、至学館の先輩・後輩として再び相まみえ、そして今回、地元開催のインターハイの決勝という大舞台での“同郷・同門対決”が実現した。
今年は、ここまで県大会と東海大会で対戦。2戦とも稲垣が接戦を制してきたが、一方の永本も7月のアジア・ジュニア選手権で優勝し、志土地翔大コーチも「ここにきてグンと伸びてきた」とその成長ぶりを評価。それだけに、決して楽な闘いではなかった。
スタンドには大勢の地元の友人たちも応援に駆けつけていたが、稲垣自身はそれで気負うことはなかったという。「みんなが応援に来てくれていたので、『絶対に頑張ろう』という気持ちもあったんですけど、試合そのものにはいつもと変わらない気持ちで挑めました。そのおかげで自分の動きができたと思います」と、息もつかせぬ接戦となった決勝を振り返った。
稲垣にとって、もうひとつの山場だったのが準決勝。対戦相手は4月のジュニアクイーンズカップとJOC杯で連敗を喫した尾﨑野乃香(東京・帝京)だ。「連敗していたので、『今回は絶対に自分が勝つ!』という気持ちで挑みました。中学の頃から攻めのレスリングを武器にしてきたので、とにかく攻め切って勝ちたいと、それだけを思っていました」という言葉通り、攻め続けた末の逆転勝利で金星を掴んだ。
そんな稲垣を、志土地コーチは「土性沙羅(東新住建)に似たタイプ」だと分析する。「以前の土性は得点能力が高いけど失点も多かったんです。今の稲垣も同じ。ただ、得点能力が高いというのは勝つためには一番大事なことでもあるし、今回の準決勝や決勝ではそれが活かされましたので。あとは課題の失点を抑えることを磨いていけば、早い時期からシニアの大会でも勝負できる選手になってくれると思います」と期待した。
「インターハイ優勝はすごくうれしかったです。勝てたことで、『また来年も優勝したい』という気持ちが強くなりました」と語る稲垣。その強い気持ちで、来年、至学館初のインターハイ連覇を成し遂げることができるか!?