※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=八木賢太郎、撮影=増渕由気子)
インターハイの女子53kg級は、決勝までの4試合すべてでテクニカルフォール勝ちを収めた今井佑海(京都・海洋)が2連覇を達成した。
昨年の大会のあとも、今年7月のアジア・ジュニア選手権での優勝をはじめ国内外の大会で結果を残してきたが、今井の最大の目標は、あくまでインターハイ連覇だったという。
三浦力哉監督はその理由について、こう明かした。「去年から女子も正式種目となって、その初年度からの連覇というのは今後も記録として残っていく。それは女子がインターハイの正式種目でなかった時代にうちで活躍した今井の姉たちにも成し遂げられなかったことですから」。
国内での戦いの意義についても、「女子は海外より国内のほうが勝つのが難しいという面もあるので。その国内のレベルを考えても、今回の2連覇というのは大きかったと思います」と語った
先月行われた京都府選手団の壮行会で、今井は全競技のインターハイ出場選手を代表して選手宣誓を行ったという。学校からの期待も大きく、出発前には学校長から「学校の代表として絶対に連覇してきてくれ!」という熱いエールを送られた。三浦監督は「本人はどうか分からないですけど、僕の方はものすごいプレッシャーを感じていました(笑)。だから、今は本当にホッとしています」と安堵の表情を見せた。
今井自身もそのプレッシャーは感じていたようで、「試合内容よりも、まずは2連覇をしたいという気持ちが一番でした」と語る。その大目標を達成できた裏には、この1年での精神面の成長があった。三浦監督によれば、「男子選手にもいないぐらいの負けん気の強さ」のある今井だが、「今は単なる負けず嫌いではなく、まわりのアドバイスにも素直に耳を傾ける気持ちを持てるようになって、練習への姿勢もだいぶ変わってきた。それが結果につながった」という。
そんな今井の次なる目標は、9月に行われる世界ジュニア選手権(スロバキア)だ。アジア・ジュニア選手権に続く“ジュニア2冠達成”が期待される。
「パワーでは他の選手にも負けない気持ちはあるんですけど、組み手のうまさとか技があまりないので…。そこを直していかないと世界ジュニア選手権とか、その先のシニアのレベルでは勝てないと思います。もっともっと練習して、頑張ります」と気を引き締めていた。