※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(2018年7月7日、埼玉・和光市総合体育館、
取材=増渕由気子、布施鋼治、斉藤葵、曽祢真依、撮影=矢吹建夫)
■男子フリースタイル65kg級・乙黒拓斗(山梨学院大=全日本王者・高谷大地を無失点に抑え初の世界選手権へ)「目標としていた結果を出せて一安心。でも、油断していられないという気持ち。今回はたまたま差が開いただけであって(高谷選手との)実力差はほとんどない。(世界選手権では同大学の高田裕司監督の20歳6ヶ月の最年少優勝記録更新の可能性があり)記録を抜きたい。世界はそんなに甘くないと思うので、10月まで頑張る。兄弟での世界選手権出場は、お互い頑張ってきたのでうれしい。協力してベストを尽くしたい」
■男子フリースタイル70kg級・乙黒圭祐(山梨学院大=弟・拓斗と兄弟で世界選手権決める)「高田先生(監督)に先制点を意識して闘えと言われていたので、それができてよかった。(先に弟が世界選手権代表を決め)いい流れでくることは分かっていたので、(自分の次に試合をする同門の)藤波選手にもいい流れをつなげられるように頑張ろうと思いました。
世界選手権は小さい頃から目標にしていた大会なので、本番では何としてでも勝ってやろうと思っています。藤波選手が昨年銅メダルをとった階級なので、僕はそれ以上の結果を残したいです」
■男子フリースタイル74㎏級 藤波勇飛(山梨学院大)「今年も世界選手権出場を狙っていたので、ホッとしています。(全日本選抜選手権欠場の要因となった負傷について)怖さはなかったですね。会心の勝利? いやぁ、動きは全然悪かったので、このままだと世界では闘えない。もっと体を引き締めたい。(74㎏級にはジョーダン・バローズ=米国=やフランク・チャミゾ=イタリア=など世界的に有名な選手がいることについて)そこで勝たないと、オリンピックでの優勝は絶対ない。74㎏級は、やっぱり70㎏級に比べたら力は強いと思った。とりあえず今年はそこの(第一線の)闘いに食い込めるようにやっていきたい。その前のアジア大会は普通に闘って、勝てればいいかなと思う」
■男子フリースタイル92kg級・松本篤史(警視庁=3年ぶりにフリースタイルでの世界選手権へ)「ホッとしている。全日本選抜選手権と違ったのは、最初の1分くらいに圧力を感じて、怖いな、という気持ちがあったこと。耐える時だとしのぎながら、プレッシャーをかけることを意識していた。
(フリースタイルに再転向だが)グレコローマンのいいところを取り入れながら、フリースタイルも強化して世界選手権に臨みたい。グレコローマンでやってきたことが、また世界で試せるのが楽しみでもある。左ひじの炎症がなかなか引かなくて痛みも多少あるけど、ケアをしっかりして準備していきたい」
■男子フリースタイル97kg級・山口剛(ブシロード=3年ぶりの世界選手権出場を決める)「6月の全日本選抜選手権では、後半になって守ってしまうことが多く、組手の指をつかみにいったりして後手に回っていた。自分なりに修正をして、それが結果につながった。今回は相手の脇に手をいれる差しの動作を多めにして、それによって相手の上体が浮かせて点数を取りに行った。
逆転の決め手となったバック投げは永田監督が(プロレスで)繰り出す技のひとつ。それを見習ってやった。2015年以来の世界選手権で、久しぶりだが、(先に出場する)アジア大会で課題を見つけ、世界で試し、東京オリンピックにつなげていきたい。ブタペストは2013年に世界選手権ベスト8の縁起のいい場所なので、メダルを取れるように頑張っていきたい」
■男子フリースタイル125kg級・山本泰輝(拓大=2度目の世界選手権出場を勝ち取る)「勝つことができて素直にうれしい反面、ずっと練習してきたタックルで点を取ることができなかった悔しさがある。最初から、相手の『ハイクラッチに入ってこい』というスタンスで相手に来られて、そこで弱気になってしまった。それでタックルに入れず、攻めることができなかった。2回目の世界選手権ということで日本を代表して行くということを自覚し、去年よりも上位に行けるように日々練習したい。4月のワールドカップでは外国人選手にもハイクラッチのタックルで点を取れたことで、前より自信がついた。その自信を練習で深めたい。2回目なので、1試合勝っただけは喜ばず、どんどん取っていきたい」
■男子グレコローマン63㎏級・遠藤功章(日体大=世界選手権初出場を決める)「勝てて世界選手権にいけることになったのはうれしい。でも、今回の試合内容では世界では通用しない。スタンドで腰が浮いてしまい、得意なグラウンドでは対策を練られて2回とも立たれてしまった。まだまだだな、と思いました。(無名の存在から日本代表になったことについて)うれしいです。(母校の大先輩で同じ日本代表の)田野倉先輩は高校生の頃から憧れていた。先輩と同じ舞台に立てるのはうれしい。日体大は強い選手ばかりなので、代表合宿とそんなに変わらないレベル。1日1日を大切にして10月の世界選手権で優勝できるように頑張ります」
■男子グレコローマン82kg級・前田祐也(鳥取・鳥取中央育英高職=地方での練習環境のハンディに負けずプレーオフを制す)「全日本選抜選手権で負けて、その相手へのリベンジではなかったけれど、優勝者に勝つことができホッとしている。職場にもいい報告ができる。
胴タックルをどこかで出さなければ、という思いがあったけど、最後まで展開を作ることができなかった。相手に合わせてしまっていたので、世界選手権までにはグラウンドで一つ返せるように、グラウンドの強化もしていきたい。鳥取県の高校生に対しても、勝つことによって重みのある指導もできるようになるので、よかった。世界選手権では自分から攻めてポイントを取って闘えるようにしたい」
■女子50kg級・須崎優衣(早大=2年連続世界選手権出場を決める)「世界選手権の代表を取れてよかったという気持ちと、世界2連覇するという気持ちです。プレーオフでは、初めに4点を取られて、全日本選手権と同じ展開。一瞬焦りました。でも、自分の強さはここからだ、世界選手権には自分が絶対に行くんだ、という強い気持ちになることができました。
残り30秒のシチュエーション別の練習をたくさんしてきて、負けている時の練習を積んでいたことで、練習通りに逆転することができました。全日本選手権の時は、取らなきゃ、と焦ってしまった。今回は気持ちをすぐ切り替えることができた。世界選手権を連覇して、東京オリンピックへつなげたいです」
■女子65kg級・源平彩南(至学館大=U-23世界選手権63kg級女王の実力見せる)「勝ててうれしい。いろいろなことがあったが、正々堂々と闘って勝つことが自分の使命だと思っていたので、一生懸命闘った。世界選手権で勝つために、日々、スポーツマンシップにのっとって生活して努力したい。具体的な課題は、もっと精神力をつけて自分のタックルを絶対の技として完成させること。世界選手権前のアジア大会は一つ上の階級(68kg級)で出場します。(負傷治療中の)土性沙羅さんが守ってきた階級なので、絶対勝たなきゃ、という気持ちです。目標は金メダルを取ること」