※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2014・15年に女子の最重量級(75kg級)で世界チャンピオンに輝き、リオデジャネイロ・オリンピックの優勝候補のナンバーワンだったアデライン・グレイ(米国)。肩の負傷で悲願達成ならなかったが、手術を経てカムバック。今回の女子ワールドカップに来日し、4戦全勝と実力を見せた。
オリンピック&世界チャンピオンのヘレン・マルーリス(昨年58kg級)が負傷で不在の中、米国チームを支えたグレイに世界一返り咲きへの思いを聞いた。(聞き手=樋口郁夫、通訳=米国・八田忠朗コーチ、撮影=矢吹建夫)
《アデライン・グレイ》=Facebook / @adelinegray(インスタグラム) / ツイッター
――優勝候補の筆頭として臨んだリオデジャネイロ・オリンピックでしたが、直前のスペイン合宿で肩を負傷し、力を出せなかったと聞いています。
「けがをしていたのは事実です。でも、選手はだれもが多少のけがをしているもの。負けた言い訳にするつもりはありません」
――オリンピックの後、手術に踏み切りましたね。
「思い切って手術しました。それ以外にも、この1年間はいろんなことがありました。大学を卒業し、結婚もしました」
――いま、けがの状態はいかがでしょうか。
「医師がしっかりアドバイスしてくれ、時間はかかりましたが、だいぶよくなりました。さらに回復すると思います。もっと強くなっていけると思います」
――先月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)では、昨年の75kg級世界チャンピオン(ヤセミン・アダー=トルコ)を破りましたね。
「はい、勝ちました」
――というと、今年は世界チャンピオン返り咲きを十分に狙える、ということですね。
「そうなりますね。今年は世界一を目指します」
――ただ、去年12月のワールドカップ‘(ロシア)後にロシアで行われた大会では、エプ・マエ(エストニア=2017年世界選手権75kg級5位)に負けていますね。
「ロシア・カップで負けました」
――世界一に返り咲くには、まだやらなければならないことがある、と。
「あの時は寒い地での大会ということもあり、ほとんどの選手が風邪をひくなど体調を崩していました。でも、負けた理由にはなりません。もっと強くなれるよう頑張ります」
――これから世界選手権までに出る大会は、何がありますか?
「コーチからは何も言われていません。復帰してからかなり試合をこなしていますけど、もっと経験を積むことになると思います」
アデライン・グレイ 2012年世界女子選手権67kg級で優勝し、その後72kg級へ。階級区分変更によって75kg級へ上げ2014・15年世界選手権で優勝。リオデジャネイロ・オリンピックでは53kg級のヘレン・マルーリス以上に金メダルが期待されていた。オリンピックで7位(3回戦敗退)のあと、約3ヶ月後のビル・ファーレル国際大会(米国)に出場して優勝したものの、負傷した肩の状態が思わしくなく、手術に踏み切った。昨秋に復帰。Beat the Streets in Los Angels(対抗戦)で勝ち、デーブ・シュルツ国際大会(米国)やクリッパン女子国際大会(スウェーデン)などで優勝。2度のワールドカップでともに4戦全勝と実力を見せている。 |