※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界レスリング連盟は12月1日、先月のU-23世界選手権(ポーランド)の男子フリースタイル86kg級で、無気力試合があった可能性があるとして調査を始めたことを発表した。
問題となっているのは、男子フリースタイル86kg級2回戦のアリ・レザ・モハマド・カリミマチアニ(イラン)とアルカン・ザブライロフ(ロシア)の一戦。試合は接戦で進んだものの、最後、ザブライロフのアンクルホールドにカリミマチアニが簡単に転がり、テクニカルフォール負けとなった。イスラエルなどのメディアが報じ、UWWが動いた形となった。
この試合に勝った場合、次の試合ではイスラエルの選手との試合が決まったため、イランのコーチが負けることを指示したと伝えられている。動画では、カリミマチアニが3-2とリードしている状況で4分55秒に場外でブレーク。マット中央へ戻る時にセコンドから何らかの指示を受けている。このあと急に闘争心がなくなったように見え、一気に3-14と差をつけられた。
アンクルホールドは、がっちり決まれば何度も回される可能性のある技だが、世界3位やアジア王者の選手が、ここまで何回転も回されるものか、との疑問は残るシーン。
イランはイスラエルを国家として認めておらず、これまでにあらゆる競技で対戦を忌避する行動に出ている。表向きは体調不良などを理由としているが、外国のチームに所属してイスラエルのチームと闘ったサッカー選手を国外追放したり、優勝できる実力者がイスラエルとの対戦を忌避して優勝できなかったケースでも金メダリスト級の報奨金を与えるなど、イスラエルとの対戦忌避は“国家政策”としか考えられない状況。
八百長試合とは違うが、UWWはまず無気力試合に向き合ったと言える。