2017.11.16

【全日本大学選手権・特集】山梨学院大の重量級を4年間支えるか、バグダウレット・アルメンタイ(97kg級=山梨学院大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

1年生王者に輝いたバグダウレット・アルメンタイ。山梨学院大の重量級を支えるか

 3代目の“驚異の黒船留学生”となるか―!? 全日本大学選手権97kg級は、カザフスタンからの留学生、バグダウレット・アルメンタイ(山梨学院大)が学生王者の石黒峻士(日大)を決勝で4-0で破り、1年生チャンピオンに輝いた。

 アルメンタイは、昨年まで学生間で無敵の留学生だったオレッグ・ボルチン(現ブシロード)と入れ替わりで山梨学院大へ入学。主力メンバーとなり、5月の東日本学生リーグ戦を支えた。ボルチンも1年目から主軸選手だったが、アルメンタイもそのポテンシャルは十分。山梨学院大の重量級を4年間支えることになりそうだ。

 まだ日本語での会話は難しく、取材はボルチンの通訳が必要だったが、「優勝してうれしい。(対抗得点で)12点を取ったし、団体戦にも貢献できた」と終始笑顔だった。

 デビュー戦となった東日本学生リーグ戦は、肩をけがしながらの出場だった。今回こそ100パーセントの力で臨みたかったが、「右ひざを痛めてしまった。力を出したかったけど、それができなかった」と、またも負傷したひざをかばいながらの出場となってしまった。その影響からか2回戦では二ノ宮寛斗(明大)に6-3と苦戦する一面もあった。

決勝で闘うアルメンタイ

 アルメンタイの武器は高速タックル。ひざのけがのため、「いつもどおりのタックルを何度もできないから、タックルを獲ってグラウンドで勝負を決めるつもりだった」と手数を少なくし、タックルをここ一番の勝負に絞り込んで勝ち上がった。

 小幡邦彦コーチは「アルメンタイの高速タックルはすごいですが、実は駆け引きがとてもうまい選手です」と試合巧者であることを明かした。けがをしてしまったが、それなりに自分の持ち味を生かしての試合展開で勝負ができたところが、今回の優勝につながったともいえよう。

 カザフスタンは旧ソ連の強豪国。日本のライバルたちを「強すぎず、弱すぎず、真ん中くらい」と評価。だがアルメンタイは日本のライバルたちを倒すのが目的ではなかった。ボルチンが横から「アルメンタイは、スタミナが全然なかったんです。日本の練習をして、すこしずつスタミナがつきました」と弱点と暴露。

 アルメンタイは、申し訳なさそうに苦笑いを浮かべて、「日本の練習はとてもいい。ここで練習すれば強くなれる。強くなって東京オリンピックにカザフスタン代表で出たいです」と今後の目標を掲げた。