※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
東日本学生リーグ戦は5月15日(火)~18日(金)、東京・駒沢体育館で行われる。2009~11年は、決勝はすべて早大と拓大の激突。“早拓時代”が続き、現在は早大が2連覇中。今年、3年連続優勝を狙う。
1997年に日体大の連覇が「18」で途切れたあと、3連覇をした大学はない。早大に限れば、1941年秋季から戦争による中止をはさんで1948年秋季まで6連覇した時以来の3連覇挑戦となる。
今年はいかに―。一部A、Bグループの下馬評の高い3大学の戦力を紹介する。(文=増渕由気子、樋口郁夫)
《一部Aグループ》
■出場チーム=早大、専大、中大、山梨学院大、東洋大、神奈川大、法大、日体大
■15年間出ていないリーグ戦3連覇を目指す早大
昨年のリーグ戦、胴上げされる山方隆之監督
今年の主将に任命されたのは66kg級の田中幸太郎。昨年12月のプレ五輪大会2位など、全日本チームの中でも若手のホープとして期待されている。田中がチームをどう引っ張っていくか。
今年の早大は“王道のカード”で挑むという。昨年までは、60㎏級の石田を74㎏級に起用したり、60㎏級の選手を55㎏級に落としてエントリーさせるなど、相手の意表をつくオーダーでの勝負があった。太田拓弥コーチは「今年は、全試合でベストメンバー。オーダーもストレートの真っ向勝負でいきます」と宣言している。
チームの仕上がりは、「昨年の全日本選抜王者の前川勝利(120kg級)が、けがのため不在になりますが、それ以外の選手の仕上がりは順調です」と話す。前川は直前の離脱ではなく、冬の段階で出場できない見込みだったため、前川の穴を埋められるチーム作りし、大きな痛手ではないようだ。
山口が抜けたが、重量級には全日本学生選手権両スタイル優勝の大坂昴(96kg級)が控えている。田中主将が座る中軽量級の層の厚さを考えれば、3連覇は十分に狙える位置にいる。 “都の西北”が駒沢体育館に響き渡るか―。
■4年ぶりの優勝へ機が熟した山梨学院大
2004年アテネ五輪代表の小幡邦彦氏が、2009年からコーチとして本格的な指導にあたっているチームが山梨学院大。小幡コーチが就任時から見ている選手が今年4年生としてチームを引っ張る。
主将は昨年の全日本学生選手権フリースタイル84㎏級3位の鈴木友希で、副主将は軽量級の水越智也。研究、指導熱の小幡氏か伝授されたレスリングの集大成をリーグ戦で発揮できるか。
インターハイ3連覇のルーキー、高橋侑希
昨年、ルーキーで正メンバーとして活躍した60㎏級の鴨居正和と高橋がそろって白星を挙げれば、重量級には全日本学生選手権120㎏級2位、全日本大学グレコローマン選手権優勝の金沢勝利など頼もしい先輩たちが構えている。チームのバランスはここ数年で一番の状態かもしれない。
山梨学院は昨年も優勝候補の一角だった。だが、小幡コーチは「私が過度に期待をし、選手にプレッシャーとなってしまった」と反省の弁。国士舘大と専大に3-4で振り切られ、優勝戦線から脱落してしまった。
「(山梨学院大は)チャンピオンではないので、チャレンジャーとして、いつも通りの力を出し切ることが目標」と話し、優勝よりも力を出し切ってたどり着いたところが優勝-、という気持ちで臨むという。
小幡コーチは「日体大とは2日目に、早大とは3日目に対戦します。初日にその2チームが闘うので、日体大と早大のベストメンバーを見てから臨める。作戦をたてるのに参考になりそう」と、組み合わせの利があると見ている。
即戦力、日程、そして上級生の安定した力を武器に、4年ぶりのリーグ戦優勝を目指す。
■2年ぶりに一部で闘う日体大の目標は「優勝」
活動停止処分のため、昨年は二部リーグだった日体大が、今年は一部リーグに復帰参戦する。本格的に活動を再開させた昨年は、全日本学生選手権のグレコローマンで5階級優勝など、すぐさま学生トップレベルの力を見せつけた。日体大がAグループの台風の目になるだろう。
日体大の天王山は初日だ。昨年の王者・早大と初日の第1試合で激突する。松本慎吾監督は「こちらは二部リーグから昇格した挑戦者です。でも、優勝することを目標にしているから、初日にどこと対戦することは関係ないです」と話し、スケジュールのことは特に意識していない。
日体大を支える井上貴尋主将
55㎏級にはJOCジュニアオリンピック55kg級で優勝し、2年連続MVPの森下史崇がいる。スタートダッシュをかけて一気に中軽量級で勝負をつけられることも可能だ。
チームの状況は、けが人もなく100パーセントのメンバーで試合ができる予定。「普段どおりに、おごりもなく相手に向かっていきます」-。