※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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(文=布施鋼治)
「金メダルを狙いに行く。最低でもメダルは獲りたい」と女子58kg級代表の坂上嘉津季(ALSOK)。3年前、初めて出た世界選手権ではメダルを獲れなかった(60㎏級9位)。「その悔しさはずっと残っているので借りは返したい」ときっぱり。
2度目の世界選手権出場を控え、坂上はやる気満々だ。「マークする選手は?」と聞くと、「いすぎてどうしようかと思っている」と打ち明けた。「フルメンバーがそろっているんじゃないですか。私の本当の実力が試されるんじゃないかと思います」
坂上は2015年、右ひざの後十字や則側のじん帯、さらに内側の半月板を一度に損傷し、全日本選手権を欠場せざるをえなかった。翌年の全日本選抜選手権で復帰するが、本調子とはいえず4位に終わる。
「私、このまま引退するのかな」。坂上の胸は不安でいっぱいになった。思い止まることができたのは「このまま引退したらカッコ悪い」という結論に至ったからだ。きっかけは国立科学スポーツセンター(JISS)でリハビリしている最中に同じような境遇のアスリートと話す機会を得たことだった。
中にはオリンピックでメダルを獲ったあと、けがをしたという人もいた。「世の中には、いろいろな人がいる」。そう思った矢先、坂上はリオデジャネイロ・オリンピックを自宅のテレビで観た。同じ至学館大のレスリング道場で一緒に練習する仲間が頑張っている姿はまぶしく映った。
「せっかく何十年もレスリングをやり続けているんだ。やり切らないで引退するのはどうか。もうちょっと自分も頑張ろう」
■復帰戦で勝ち、ロシア最高レベルの国際大会でも優勝
復帰戦となった昨年12月の全日本選手権60kg級で優勝すると、翌月、その勢いで出場したロシア最高レベルの国際大会の「ヤリギン国際大会」で優勝した。「久しぶりの国際大会だったので、試合前から思い切りやろうと心に決めていました。初めて世界選手権に出た時の反省を活かし、最初にポイントを奪われても焦らないで最後に取り返そうという気持ちで闘えたことがよかったんだと思います」
対照的に、58kg級に照準を定めて出場した5月のアジア選手権(インド)は課題が残る大会となった。「私だけ最終日の試合だったせいか、変な重圧を感じてしまった。そのせいか、いつも通りの動きができなくて…。準決勝でアイスル・チニベコワ(キルギス)にフォール負けを喫してしまいました」
日本選手のような組み手を仕掛けてくるアイスルにもリベンジしたいが、今大会の58㎏級にはリオデジャネイロで吉田沙保里が破ったヘレン・マロリウス(米国)も階級を上げて出場する。
「(7月のポーランド女子オープン大会)ヘレンはアイスルにも勝っているので、この階級でも強いと思います。でも、一番強いのはロシア代表(リオデジャネイロ58㎏級銀メダリストのワレリア・コブロワ)なんじゃないかと思います。体幹が強いので崩れることがそうそうないし、攻めと守りがしっかりしている」
急に入る正面タックルを武器に、坂上は激戦区で上位に食い込めるか。
坂上嘉津季(さかがみ・かつき=ALSOK) 初出場(通算2度目の出場) 1992年11月7日生まれ、24歳。千葉県出身。愛知・至学館高~至学館大卒。160cm。2009年全日本選手権55kg級3位、翌2010年全日本選抜選手権55kg級3位などで台頭。2014年全日本選抜選手権60kg級で優勝し、世界選手権9位。 負傷のため戦列を離れた後、2016年の全日本選抜選手権は58kg級で4位。全日本選手権60kg級で復活優勝を遂げ、2017年1月のヤリギン国際大会(ロシア)で優勝。アジア選手権は58kg級で3位へ。 |
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