※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 高校最後の夏でタイトルを獲得した米澤凌(秋田・秋田商)
決勝は開始早々、「獲れそうだ」と直感し、得意のタックルでテークダウンの2点を奪った。キッズ時代から名をとどろかせている基山から2点を先制したことで、米澤は試合の主導権を握ることに成功した。
横山秀和監督は「得点自体はその2点のみでしたが、その後も積極的にタックルで攻め続けたことで、相手に反撃するすきを作らせなかった。米澤の思い通りの展開になったと思います」と評価。攻撃は最大の防御という試合展開だった。
「秋田商の米澤」と聞くと、3年前のインターハイを思い出す。現在早大の中量級の主力で、昨年の学生二冠王者(全日本学生選手権、全日本大学選手権)。全日本選手権でも準優勝と成長著しい米澤圭のこと。多くの人が想像するとおり、米澤凌の兄である。
優勝を決めてガッツポーズ
弟は「自分の精神力が鍛えられると思った。兄も乗り越えた」と、敢えて慣れない土地での高校生活を選択。「実際に、雪の日は大変でした」と苦笑したが、全国チャンピオンになり、その苦労も吹き飛んだ。
■「第1ピリオドに必ずテクニカルポイントを獲れ」の指示を忠実に実行
憧れの兄だが、負けたくない気持ちは当然ある。高校3年のときに春夏連覇した兄に比べると、米澤の成績はいまひとつだった。無冠で迎えた最後のインターハイに、横山監督は「兄貴に負けるなよ」とはっぱをかけ続け、米澤を鼓舞したそうだ。
秋田商の横山秀和監督に抱きついて喜んだ
「ヤマ場は決勝だった」と振り返るが、準決勝の佐藤匡記(東京・帝京)戦も絶対に負けられない一戦だった。「(キッズクラブ)AACC時代の後輩。(JOCアカデミーに行って)強くなっていたけど、先輩としての意地だった」と、元同門を倒しての勝利が優勝へのアシストとなった。
当然、大学でもレスリングを続けるつもりで、進路は兄と同じところを希望している。「今回の優勝でいいアピールができたと思います」と満面の笑みを浮かべていた。