※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子) 根子岳頂上に勢ぞろいした合宿参加選手
宿舎の菅平プリンスホテルは菅平高原に位置し、標高は約1300メートル。根子岳は標高2207メートルで、山道を縫って登ると片道6kmほどになる。井上謙二・男子フリースタイル強化委員長(自衛隊)は「例年は競走で駆け上っているが、世界選手権も近いということで、けがのリスクが少ないよう」と、今回は競走せず、基本的に歩いて登るよう指示した。
重量級選手が午後1時にスタート。軽量級は30分遅れてスタートし、途中、5分ほどの小休憩をはさんだだけで、それぞれの選手のスピードで1時間半から2時間で全員が登り切った。井上委員長は「選手によっては、負けず嫌いの面が出てくることもあった」と言い、軽量級選手の中には、滑る可能性のない場所では気をつけつつ駆け登ったりした者もいたようだ。
「疲れた~」。鴨居正和選手(左)と園田平選手
■トップ選手だけが経験できる根子岳登山!
世界選手権57kg級代表の高橋侑希(ALSOK)は「去年のこの時期、富士山を登山しました。日本一高い山を登れたので、根子岳は余裕だろうと登りましたが、合宿の疲れもあり、また日本で一番高い山に登れたという油断もあり、とてもきつい登山になりました。世界選手権も同じで、弱い相手はいません。ひとつひとつの試合を全力で、すきを見せないように闘います」と決意を新たにした。
若手選手には「トップ選手だけが経験できる根子岳」というイメージがあるもよう。“あこがれの根子岳”登山を実現でき、いい経験になった様子だ。
1979年から続く菅平合宿の恒例シーン
前日のダボスでの走り込みでは、いつもより距離を長くし、短距離ダッシュも十分に行なった。「世界で闘う時、もつれた場面や勝負どころで競り勝つためには、もうひとつ、もう一歩前に出る強さが必要」と話し、心肺機能と足腰の強化の目的は十分に達成できた菅平合宿だったようだ。
世界選手権代表が決定したあと、十日町、至学館大、菅平と合宿が続いた。このあとも東京(味の素ナショナルトレーニングセンター)と岐阜・濁河と国内合宿が続き、出発まで断続的に合宿が続く。