2012.04.28

【五輪予選最終ステージ第1戦・特集】男子フリースタイル84kg級・松本篤史(ALSOK)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

初戦に勝った松本。勢いを元世界王者との試合につなげられず

 【太原(中国)】男子フリースタイル84kg級の松本篤史(ALSOK)は2試合目で敗れ、五輪への道が閉ざされた。負けた相手は2010年世界王者のミハイル・ガネフ(ブルガリア)。試合内容は、松本の攻めが効いてガネフはばて、差して相手を崩し、ゾーン際で2ポイントを獲得するという互角以上の試合だった。

 しかし勝利につなげられず、「アジア予選(カザフスタン)でもそうでしたが、五輪予選は結果がすべてです。勝たなければ意味がない。結果にこだわりたかった」とうつむいたまま。相手がばてていたのは分かっていた。第2ピリオド、2-1で迎えた1分40秒頃、少し守りに入った事が悔やまれる。勝てた試合だった。

 兄・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)の名前を口にすると涙が浮かんだ。「自力で兄と一緒に五輪に行くためのチャンスは今回だけだった。一緒に行きたかったです。取れなかった…」

 最終予選(フィンランド)へは全日本選手権2位の門間が派遣されることが決まっている。松本にとって、今大会は自力で五輪の切符を勝ち取る最後のチャンスだった。「自分が決めるべきところで決められなかった弱さ。他人任せにしたくはないけれど、門間選手が枠を取ってきたら、一発勝負なので、そこにすべてをかけなければと思う。でも今は、自分で取れなかったのが悔しいです」

  まだチャンスはゼロではない。自力での五輪出場は消えたが、門間がフィンランドで出場枠を獲得した時は国内で最終プレーオフが待っているため、まだ気は抜けない。険しい五輪への道はまだ続いている。