2012.04.26

4・27~29五輪予選最終ステージ第1戦 見どころ(上=男子フリースタイル)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

※4月19日掲載の「展望」記事を、欧州予選が終了し、エントリーが判明したことで修正したものです。なお、エントリーした選手以外の選手が出てくる場合もあります)


 【84kg級】

 《日本代表》松本篤史=ALSOK 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 昨年の世界選手権では、6選手中5選手が欧州の選手。欧州の強豪は大方出場枠を取っているが、2010年に世界選手権を制したブルガリア(ミハイル・ガネフ)が取りこぼしている。欧州予選で9位に終わって出場枠を手にできなかったガネフが、今大会に連続出場するもよう。体調がどうかにもよるが、最大の敵となるだろう。

 残る欧州の強豪は、2011・12年欧州選手権3位のゲオルギタ・ステファン(ルーマニア)、2010年世界選手権5位のピオトル・イアヌロフ(モルドバ)くらい。ともに欧州予選に続いてのエントリーで、控え選手はいない。

 パンアメリカンも米国とキューバの2強が獲得済み。成長著しいプエルトリコも取っており、残るはカナダとベネズエラくらい。このステージでの敵は、実質的にはアジアの国となりそう。

 アジアからはイランとウズベキスタンが抜けている。2010年アジア大会と今年2月のアジア選手権でともに2位のリー・ヤエスン(韓国)は3月のアジア予選は8位。カザフスタンはアジア予選3位の選手をはずし、2010年アジア大会3位のエルメク・バイデュアシェフの出場が公表されている。

 タジギスタンは2008年北京五輪2位で、34歳のベテラン、ユスプ・アブデュサラモフではなく、別の選手がエントリーしてきた。


 【96kg級】

 《日本代表》磯川孝生=徳山大職 / 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 2008年北京五輪と2009・10年世界選手権でいずれも1~3位に入っていたロシア、アゼルバイジャン、グルジアの3強が昨年の世界選手権で取りこぼした階級。欧州予選ではロシアとグルジアが出場枠を取った。

 アゼルバイジャンはエントリーを完了していないが、欧州予選に若手選手を派遣しているので、2010年世界選手権優勝のケタグ・ガスモフの出場が濃厚。優勝候補の筆頭となろう。ウクライナからは、今年の欧州選手権2位のバレリ・アンドリーチェフがエントリーしてきた。欧州予選とは別の選手だ。

 アジアからはイラン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジギスタンが出場枠を取っている。残っている中では、今年2月のアジア選手権で優勝した元ロシアのマゴメド・ムサエフ(キルギス)のほか、2008年北京五輪84kg級出場のガンゾリグ・チャグナードルジ(モンゴル)をマークしたい。

 パンアメリカンは米国、キューバ、カナダが出場枠を取っているので、注意すべきはベネズエラくらいだろう。


 【120kg級】

 《日本代表》荒木田進謙=専大クラブ / 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 欧州予選でトルコとハンガリーが“順当に”抜けてくれ、欧州勢で出場枠を獲得していない強豪は2010年世界3位のイオアニス・アルゾウマニディス(ギリシャ)くらい。

 アジアではモンゴル、ウズベキスタ、カザフスタンが出場枠を獲得済みで、イランが残っている。2009年世界選手権2位のファーディン・マソウミではなく、2012アジア選手権優勝・アジア予選3位のパルビズ・ハディと2011年アジア選手権2位のコメイル・ガセミがエントリーしてきた。中国、キルギスも強敵だが、ずば抜けた強さの選手はいない。

 パンアメリカンからは米国、カナダ、メキシコが出場枠を手にしており、キューバがまだだが、この階級のキューバはここ数年の成績を見ると、「強豪」とはいえない成績。恐れる相手ではないだろう。