2012.04.19

4・27~29五輪予選最終ステージ第1戦 展望(上=男子フリースタイル)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ロンドン五輪予選の最終ステージ第1戦(第3次予選)は4月27日(金)~29日(日)、中国・太原で行われ、各階級とも上位3選手(3位同士で特別試合を実施するものと思われる)までの選手に五輪出場枠が与えられる。日本は男子フリースタイル84・96・120kg級、男子グレコローマン74・84・120kg級の6階級に出場し、五輪出場枠獲得を目指す。

 それに先立つ20日(金)~22日(日)にはブルガリア・ソフィアで欧州予選が行われる(上位2選手に出場枠)。ここに一番手を出場させた国は、1週間後に同じ選手をアジアまで遠征させるとは思えず、二番手選手の派遣となることが予想され、日本にとっては追い風となろう。

 各階級の勢力をさぐった(欧州予選が終わり、この予選のエントリーが判明した場合には、修正のうえ再アップします)。


 【84kg級】

 《日本代表》松本篤史=ALSOK 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 昨年の世界選手権では、6選手中5選手が欧州の選手。欧州の強豪は大方出場枠を取っている。2010年に世界選手権を制したブルガリア(ミカイル・ガネフ)が取りこぼしているが、今度の欧州予選で獲得する可能性は高いだろう。他にトルコかルーマニアが取ってくれれば、欧州の強豪はほとんど消えた状態になる。

 パンアメリカンも米国とキューバの2強が獲得済み。成長著しいプエルトリコも取っており、残るはカナダとベネズエラくらい。このステージでの敵は、実質的にはアジアの国となりそう。

 アジアからはイランとウズベキスタンが抜けている。2010年アジア大会と今年2月のアジア選手権でともに2位のリー・ヤエスン(韓国)は3月のアジア予選は8位。再度出てくるか。カザフスタンはアジア予選3位の選手をはずし、2010年アジア大会3位のエルメク・バイデュアシェフの出場が公表されている。

 2008年北京五輪2位で、34歳のベテラン、ユスプ・アブデュサラモフ(タジギスタン)は、2月のアジア選手権3位、アジア予選5位と力は落としている。


 【96kg級】

 《日本代表》磯川孝生=徳山大職 / 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 2008年北京五輪と2009・10年世界選手権でいずれも1~3位に入っていたロシア、アゼルバイジャン、グルジアの3強が昨年の世界選手権で取りこぼした階級。今度の欧州予選では3ヶ国とも一軍選手がエントリーしている。よほど極端な組み合わせでない限り、この3ヶ国の中の2ヶ国が出場枠を取るだろう。

 必然的に残った国がこのステージでの最大の敵となる。二番手選手の出場が予想され、一段落ちるだろうが、これらの国の選手なら2番手でも優勝する力はありそう。今年の欧州選手権2位のウクライナには同レベルの選手が3人ほどいる。だれが出てくるか。

 アジアからはイラン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジギスタンが出場枠を取っている。残っている中では、今年2月のアジア選手権で優勝した元ロシアのキルギスのほか、モンゴル、韓国をマークしたい。

 パンアメリカンは米国、キューバ、カナダが出場枠を取っているので、注意すべきはベネズエラくらいだろう。


 【120kg級】

 《日本代表》荒木田進謙=専大クラブ / 最近の主要国際大会成績と五輪出場枠獲得国

 欧州勢で出場枠を獲得していない強豪はギリシャ、トルコ、ハンガリーなど。欧州予選でこの中で2ヶ国が抜けてくれれば、かなりの追い風になる。

 アジアではモンゴル、ウズベキスタ、カザフスタンが出場枠を獲得済みで、イランが残っている。アジア予選に出場してこなかった2009年世界選手権2位のファーディン・マソウミあたりが出場してくるか。中国、キルギスも強敵だが、ずば抜けた強さの選手はいない。

 パンアメリカンからは米国、カナダ、メキシコが出場枠を手にしており、キューバがまだだが、この階級のキューバはここ数年の成績を見ると、「強豪」とはいえない成績。恐れる相手ではないだろう。