2016.11.29

ゴールデンGP決勝大会優勝の文田健一郎(日体大)が帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 “オリンピック銀メダリストより強い男”が、金メダルを持って凱旋帰国-。アゼルバイジャン・バクーで行われたゴールデンGP決勝大会で、日本の男子グレコローマンとしては7年ぶりに優勝した59kg級の文田健一郎(日体大)が11月28日、成田空港に帰国した。

 文田は6月のピトラシンスキ国際大会(ポーランド)で太田忍(ALSOK=その後、リオデジャネイロ・オリンピックで銀メダル)を破るなどして優勝しており、国際大会2大会連続の優勝。今大会は今年のアジア王者を破っており、「世界における自分の立ち位置が、はっきりではないが分かってきた。目標が立てやすくなった」と、今後の指針を決めるうえで価値ある優勝だったことを話した。

 昨年のこの大会は2回戦で敗れ、負傷のため敗者復活戦を棄権している。「けがで、あまり闘えなかった。いい印象がない大会。どこまでやれるか分からなかった」という試合前。初戦で昨年の世界ジュニア選手権55kg級王者のアゼルバイジャン選手(年齢は同じ)と対戦し、「自分の形を出せた」ことで波に乗った。

 どの試合でも得意のそり投げが決まってポイントを取れ、内容的にも満足のいく優勝だったようだ。ただ、反対ブロックにいた2012年ロンドン・オリンピック55kg級3位のミンギヤン・セメノフ(ロシア)は「やりづらそうなタイプ」とのことで、この選手が決勝に出てきたら、自分のレスリングが貫けたかどうかは分からない。世界は広く、まだ多くのタイプと経験を積む段階のようだ。

 12月の全日本選手権では、太田との再度の対決が注目される。「気持ちを切り替え、しっかりつくり直して挑みたい」と、すぐにやってくる次の勝負を見据えた。

 笹本睦監督(日本協会アシスタントコーチ)は「全試合ともしっかりポイントを取って勝っている。押し負けることもなく、内容がいい完ぺきに近い優勝。ひやりとした場面はあっても、得意なそり投げで切り返して窮地を脱出する力を見せた」と高評価。ロシアのセメノフは強敵だが、「その選手に勝って決勝に上がってきた選手にフォール勝ちしたのだから」と、セメノフを上回る実力と言わんばかりに称えた。

 ただ、「今後警戒されてくるので、そこから自分のレスリングをどうやっていくかがポイント。ポーランドの大会で優勝しているので、フミタという名前は知られていたが…」と、本格的に知られ、研究されていく今後こそが勝負と手綱を締めた。

 「国内で、太田、文田という若い世代で世界トップレベルを競っていけば、オリンピックの金メダルにつながる」と、国内で予想されるハイレベルのし烈な闘いを歓迎した。