2026.04.29NEW

【2026年JOC杯・特集】春の王者・京都八幡高から2人のU20王者(鸙野大河、小西寿)が誕生!

 ときに高校生選手が優勝することもあるJOCジュニアオリンピックのU20カテゴリー。2026年は京都・京都八幡高から男子グレコローマン63kg級で鸙野(ひばりの)大河、男子フリースタイル92kg級の小西寿の2選手が優勝した。

 これまで同一高校から2選手が優勝した例はあるが(2017年の千葉・日体大柏高)、各スタイル1選手ずつの2選手が優勝した高校は初めて。

▲2人そろって全国高校選抜大会に続いての優勝達成した小西寿(左)と鸙野大河

得意の首投げがかかって「自信になりました」…鸙野大河

 男子グレコローマン63kg級を制した鸙野は、大学選手3人、高校選手1人を破っての優勝。準決勝の藤瀬夏唯(佐賀・鳥栖工高)以外の3人の大学選手にはテクニカルスペリオリティで圧勝という内容だった。

 鸙野は「率直にうれしい。U20優勝によって全日本(選抜)選手権の出場資格を得られる。ここで優勝しないと、最終目標である全日本選手権優勝、世界選手権出場はない。全日本レベルでどれくらい闘えるかを確認するうえで、優勝できてよかった」と喜びを表した。

 昨年の全日本選手権には出場していないので、大学選手と闘うのは初めてのこと。だが、「同じ63kg級で計量する。同じ体重で、年齢もさほど変わらない。挑戦者という気持ちで闘いました」とのことで、年上選手への気後れはない。もっとも、昨年は2年生にしてインターハイや全国高校生グレコローマン選手権を制しているのだから、年上選手との試合は、どうということはないのかもしれない。

 ただ、今回の大会で最も警戒したのは、高校生の藤瀬(前述)だったという。練習では何回もやっているそうで、「苦手意識がある」とのこと。実際に闘ってみて、「自分の悪いところもたくさん出て、守るような形で勝ったので、内容はよくなかった」と反省。その分、決勝は得意の首投げがかかって勝てたので、「自信につながりました」と言う。

▲決勝で得意の首投げを決めた鸙野大河

 昨年のインターハイで優勝したあと、全国高校生グレコローマン選手権、国民スポーツ大会グレコローマン、全国高校選抜大会、今大会と勝ち続けている。そのこと自体は「自信にはなる」としながら、「プレッシャーも感じる」という“悩み”も。ただ、「今年のインターハイは、(団体・個人の双方で)春夏連覇がかかっている。今まで一番気持ちの入る夏になるでしょう」と、夏に向かって燃え、そのあとのU20世界選手権でのメダル獲得を目指す。

自信とうれしさは「今日1日だけ」…小西寿

 男子フリースタイル92kg級を制した小西は、4人の大学選手を相手にしての優勝。「勝ってホッとしている。スタミナはある方だと思う。大学生が相手でも後半ばてることがなかった。後半勝負にいくぞ、という気持ちでした」と優勝を振り返った。

 準決勝で闘った吉田悠耶(佐賀・鳥栖工~日大)は昨年の高校三冠王者。同じ重量級の選手として親交もあり、よく話もするそうで、闘うにあたって「複雑な部分もあった」と言う。それでも、「勝負の世界だから絶対に勝ってやる、という強い気持ちがあった」とのことで、大学生を相手に「チャレンジャーとしての気持ちがよかった。追いかける立場だったことがその面では楽な部分はあった」と優勝を振り返った。

▲決勝戦、第1ピリオドは1-2とリードされていたが、第2ピリオドに本領を発揮して優勝の小西寿

 これからは86kg級でやっていく予定。今回は、86kg級に出場しそうな選手を予想し、「勝てる見込みが少ないと思った。今年は高校五冠を取るのが目標。そのために(勝ちやすい)92kg級に出ました」と言う。通常体重からすると86kg級の選手。「86kg級でも勝てるように実力をつけたい」と話した。

 3月末の全国高校選抜大会の優勝とともに、自信になったと思われるが、「自信はあまり持たないようにしています。今日1日だけは自信とうれしさに浸りますけど、明日からは挑戦者。高校五冠王を取りにいきます」と気合を入れた。

実績ある、なしにかかわらず、団結して練習!

 公立の京都八幡高は、全国からエリート選手を集めているチームではない。八幡ジュニア教室からの一貫強化で入部してくる選手がほとんどだが、部員は多くなく、実績のある選手ばかりではない。その中からU20で2人のチャンピオンが生まれたのは、驚異的なことではないか。

 強さの秘密を鸙野に聞くと、「結果が出てる、出ていない関係なしに、仲間内で頑張っている。(その団結心が)ウチのチームの魅力(強さ)なのかな」との答え。

 小西は「考えての練習」を指摘した。自分の場合、必然的に軽量級の選手との練習が多くなる。「力でねじふせるのではなく、技術を磨きながら、考えて練習することを心がけている」と言う。練習で勝てばいい、ではなく、試合で勝つための練習をやっていることが、結果に出ているのだろう。

▲優勝を決め、浅井努監督(右)と北村公平コーチから祝福を受ける鸙野大河

 練習方法も、全員が一緒ではない。鸙野は「小西は努力するタイプ。練習後も一人で練習している。自分は、全体練習のスパーリングや打ち込みを100%の力でやる(居残りはあまりしない)。努力していない、とは言わないけど(笑)、自分に合った練習方法をしている」と説明し、自主性と各人のやり方に合わせる練習がいい方向に出ているようだ。

 公立で部員数の少ないチームが、全国高校選抜大会の学校対抗戦で優勝し、個人戦とJOCジュニアオリンピックで2選手ずつ優勝という結果は、全国からの注目を集める結果であり、強化のモデルケースとなりうる事例。学校対抗戦と個人戦での春夏連覇達成へ向けて、京都八幡高から目が離せない。