2026.04.19NEW

吉田アラシ(三恵海運)が日体大でグレコローマン特訓、松本慎吾監督とも“ガチンコ・スパーリング”

 2026年アジア選手権で2連覇を達成した吉田アラシら三恵海運の選手は4月18日、日体大の練習に参加。グレコローマンの強豪に同スタイルで挑んだ。

 吉田は、まずフリースタイルで高校時代に2年連続三冠王に輝いた甫木元起や、2024年79kg級全日本王者の神谷龍之介ら階級が下の選手とスパーリング。エンジンがかかったあと、昨年の全日本選手権87kg級優勝の吉田泰造、グレコローマン84・86kg級で全日本選手権9度優勝の松本慎吾監督、2024年パリ・オリンピック60kg級優勝の文田健一郎(ミキハウス)の順にグレコローマンに挑んだ。

 吉田泰造とは昨年11月の全日本大学選手権(フリースタイル)の決勝で対戦する予定だったが、吉田泰造の負傷棄権で実現しなかった経緯がある。スタイルを変えて実現した“吉田対決”は、吉田アラシが専門家の腕取りやローリングに苦戦するシーンもあったが、一歩も引けを取らない奮戦。

オリンピック王者に豪快な首投げ

 続いて、今でも学生選手より(全日本トップ選手より?)強いと言われる松本監督が相手。スパーリングに上がっていない選手全員が注目することとなり、ここでも吉田は押されることなく圧力をかけて攻撃。つい脚を使って松本監督をマットに転がすシーンもあり、これはダメ(反則)だな、といった表情を浮かべることが3度あった。完全に脇を差されてピンチを迎えるシーンもあり、やりづらさはあったようだが、押し負けることはなかった。

 最後に挑んできたのが文田で、40kg近い体重差を超えての対戦。文田はこれだけの体重差がありながら、圧力をかけてタイミングよく首投げを決めて学生選手からの拍手喝采を受け、一方的にやられることがなかった。胴タックルからテークダウンを決めて意地を見せるなど、さすがはオリンピック・チャンピオン。吉田にとって貴重な経験になったことだろう。

「学ぶことはたくさんありました」…吉田アラシ

 吉田は、恵まれた体力をもって全国高校生グレコローマン選手権全日本大学グレコローマン選手権でも優勝している。未知の世界ではないが、主流はフリースタイルなので、グレコローマンの全日本トップ選手が相手ではかなり戸惑いもあった様子。「押し方や重心の使い方など、学ぶことはたくさんありました」と振り返る。

 組み合って倒そうとするとき、反射的に、あるいは「このくらいは(グレコローマンで)認められるかな」という感じで脚が相手の脚にかかってしまったとか。だが、スタンド中心で攻める自分のスタイルからして、グレコローマンの練習で「得るものは、たくさんありました」と言う。

 練習拠点は母校の日体大だが、三恵海運には日体大OBもいるので、「これからは練習に来ることも多くなるでしょう」と話し、グレコローマンの練習にも力を入れる腹積もりだ。

「練習するのが楽しみになった」…松本慎吾監督

 松本監督は、吉田アラシとはスタイルが違うので、両スタイル合同の全日本合宿でも練習することはなかったと言う。初めて組み合ってみて、「強い、と思いました」と第一声。体のさばき方が素晴らしいそうで、一度フォールの体勢にもって行けそうになったが極め切れず、「すばらしい対応力、身のこなしを感じた」と言う。この動きを全階級の選手ができるようになれば、最重量級を含めて殿階級でも世界で勝てるようになると評価した。

▲スパーリング後の技の研究の時間に、あらためて技術指導する松本監督

▲スパーリングでこうしたシーンができるよう、体を鍛え直すと言う松本監督

 自分の現役時代より上の階級である吉田の活躍は、うれしい限り。「最終的には最重量級でも勝てる選手が出ることを期待したい。その光が見えたことは、非常にうれしい」と言う。この日は吉田アラシを追うリボウィッツ和青(日大)も練習に参加してグレコローマン特訓に汗を流したが、「スタイルに関係なく、お互いに刺激し合えば、もっと高められる。大学(の垣根)は関係ない。ウチはいつでもオープンです」と、重量級の一致団結を求めた。

 同監督は、今でもバリバリの現役選手と真っ向勝負のスパーリングをやっているが、吉田アラシとの練習で、さらに闘志に火がついた様子。「もっと体を鍛えよう、という気持ちになりました。(練習するのが)楽しみになった」とも話す。次回以降、さらに熱の入ったスパーリングが展開されそう。