2026.02.19NEW

【2026年San-E Cup関西オープン・特集】グレードアップしたイベント、西日本の大学からのオリンピアン輩出を目指す

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(文=布施鋼治)

 2月13~14日に天理大で行われた2026年「San-E Cup 関西オープンレスリングフェスティバル」。髙田琴恵・大会名誉委員長(三恵海運社長)は「大学の枠を超え、関西と九州・中国がそれぞれAからCまでの3チームに編成され、みんなが一丸となって闘い、応援し合っていた。活気のある大会になって本当によかったと思います」と総括した。

 関西オープンは、三恵海運のコーチを務める鈴木貫太郎・現帝塚山大監督(大会・競技進行委員長)が天理大に声をかけ、2023年3月に同大学で大学生と高校生の合同合宿を実施したことがルーツだ。その後も毎年開催され、第4回となる今年は初めてSan-E Cupの冠がついた大会を実施。グレードアップしたイベントになった。

▲開会式であいさつする鈴木貫太郎・競技進行委員長=撮影・保高幸子

 なぜこの大会をやることになったか、といえば、大会に携わった関係者の誰もが「関西のレスリングを復興させたい」という気持ちが強かったからにほかならない。

 「なぜ、西日本にある高校のいい選手は、みんな関東に行ってしまうのか」。San-E Cupへの経済支援を惜しまなかった三恵海運の髙田肇相談役は、以前からそんな疑問を胸に抱いていたと言う。2024年パリ・オリンピックでは、同社所属の日下尚、清岡幸大郎の2人の金メダリストを輩出した。

 「日下は香川県、清岡は高知県の高校出身だけど、大学は関東の日体大だった」

 うれしかったが、一方で西日本にとどまらせるにはどうしたらいいのかを腐心し、妙案を思いつく。「西日本の大学をワンチームととらえたらいいんじゃないか」

▲西日本レスリング界からのオリンピアン誕生を願う三恵海運・髙田肇相談役

高校と大学の積極交流の場

 今回も、2日目の午後と最終日には西日本の高校生も参加し、大会に出場した大学生や三恵海運所属の選手たちと汗を流した。この合同練習がきっかけとなって、進学先を決めた選手もいる。単に年上の選手とスパーリングをするだけではなく、「○○大学には自分に合った指導者がいる」という“出会いの場”でもある。

 その方針は、髙田相談役の「魅力的な指導者のいる大学が西日本に多くあれば、この地域の大学を選ぶ高校生がもっと出てくるはず」という考えとも一致した。

 今後は、今回出場のなかった大学にも参加してもらえるような大会を目指すという。「そのためには、大会にかける資金も頑張らないといけない。大会運営については、今後も皆さんの忌憚のない(遠慮のない)意見に耳を傾けていきたい」

▲西日本の高校と大学の交流の場でもある関西オープン

 髙田相談役は当面の最終目標として、「西日本の大学からオリンピック代表を出すこと」を挙げる。

 歴史をさかのぼると、西日本の大学出身のオリンピアンは、1964年東京オリンピック金メダリストの市口政光(関大卒)が有名だが、その後は1984年のロサンゼルス大会・フリースタイル100kg以上級で7位に入賞した石森宏一(大体大卒)、2012年ロンドン・オリンピック・男子グレコローマン66kg級の藤村義(徳山大卒)がいるだけだ。

 髙田相談役は「石森は大体大で私の4つ下。現役時代は、ホンマによく、出げいこで関東に行っていましたね」と懐かしむ。

関東の強豪チームが参加するような大会へ

 「何年先になるか分からないけど」と前置きしたうえで、San-E Cupとしてのさらなる夢を語る。「今回は、関東から慶応と立教の学生が来てくれました。他からも来てくれたらうれしい。そのためには関東の大学と渡り合えるくらいの力を西日本全体でつけないといけないでしょう」

 今後は、San-E Cup以外にも西日本の強化を図ろうとしている。「今年から弊社のバックアップで、西日本の選抜チームを関東の強豪チームに行かせ、強化をはかっていきたい」

 今大会では下山田培(日体大OB=昨年の世界選手権オーストラリア代表)が率いるオーストラリア選抜チームが参加し、国際色を高めていた。来年は、オーストラリアとともに長谷川敏裕選手が約1年間留学していたカナダからの選抜チーム招聘の気持ちを持っていると言う。

 夢は多ければ多いほどいい。来年開催予定の第5回「関西オープン」は、どんなスケールの大会になっているだろうか。

▲今年はオーストラリアから参加。“国際大会”となった