(文・撮影=布施鋼治)
「自分たちの肩書きのことは忘れなさい」
1月31日、横須賀アリーナで行われた2026年関東高校選抜大会の学校対抗戦。3年ぶり2度目の優勝を果たした自由ヶ丘学園(東京)の面々を奮い立たせたのは、田野倉翔太監督の一言だった。
「昨年8月のインターハイで優勝し、ひとつの大きな目標を達成した。そのあとモチベーションを維持していくのは非常に難しかった。そういうとき、11月の東京都高校新人大会で文杉(文化学園大杉並)に負けてしまった」
国民スポーツ大会が終わって3年生が部活動を終了。残された1~2年生を中心に新チームを作っていかなければならない時期。田野倉監督は部員たちに言い聞かせた。
「東京都の大会で2位になっている事実を忘れてはいけない。(3年生の)坂本広もリボウィッツ和青もいない。我々はもうチャンピオンではなくチャレンジャー。肩書より新チームとしての結果の方が大事だよ」
お世辞にも、楽に勝ち上がったわけではない。日体大柏(千葉)との初戦は不戦勝3試合を含み、日大藤沢(神奈川)との準々決勝も不戦勝1試合を含み、いずれも5-2というスコアだった。
「今回のウチは、目の前の相手に勝つことだけを念頭に闘っていましたね」
続く準決勝の足利大附(栃木)と文化学園大杉並との決勝は、いずれも4-3と勝負は最後までもつれ込んだ。準決勝と決勝を勝ち抜いた理由について聞くと、田野倉監督は「選手たちが『ここで勝たないといけない』というのを理解してくれたんじゃないですか」と分析した。
大会前は、決勝で文化学園大杉並と当たり、東京都の新人戦で敗れたリベンジの機会を得るところまで考える余裕もなかった。「(もう一方の)Aブロックは花咲徳栄も強いですから、必ずしも文杉が勝ち上がってくるとは思っていませんでした」と言う。
結果としてリベンジ戦となった決勝では、3勝2敗と王手をかけたあと、80kg級の永田裕生が丸山凉平を2-1で破って優勝を決めた。「永田は準決勝で(山﨑錬真に0-10のテクニカルスペリオリティーで)負けている。よく気持ちを切り換えて勝ってくれたと思います」と短時間での立ち直りを評価した。
大会初日、学校対抗戦が終わると、すぐ個人対抗戦がスタートした(2回戦以降は翌日)。田野倉監督は「個人戦でも強いところを見せてほしい」と語っていたが、その気持ちに応えるかのように自由ヶ丘勢は4階級で優勝し、強さを見せつけた。
もっとも、文化学園大杉並のみならず3位の花咲徳栄、足利大附がこのまま指をくわえてじっとしているわけではあるまい。次なる決戦の舞台は3月下旬の風間杯全国高校選抜大会(新潟市)。どんな激しい闘いが待ち受けているのだろうか。