2026.01.08NEW

2026年世界レスリング界の注目(4)…北朝鮮の躍進が続くか、女子は日本の牙城に迫る勢い!

 2025年は男女とも北朝鮮の躍進が著しい年だった。シニア世界選手権の女子では「金2・銀2・銅1」を獲得して国別対抗得点の2位に躍進した。これまでの同国は少数精鋭の方針で、軽量級を中心に勝てる階級に絞って参加してきた。そのため、全階級にわたっての総合力で競う国別対抗得点の上位には縁がなかった。

▲北朝鮮としては2019年以来、出場停止のブランクをはさんで6年ぶりに世界一に輝いた女子62kg級のオ・キョンリョン=UWWサイトより

 昨年の世界選手権は、女子7階級に出場。59kg級のホン・ピョルのみメダル争いに絡めなかったが(その選手も、4月のアジア選手権決勝では尾西桜にラスト5秒で逆転負け)、他の6階級ではいずれも3位決定戦か決勝に進出。62kg級のキム・オクユが元木咲良にラスト0.3秒での逆転負けを喫しなければ3階級制覇だった。国別対抗得点は115点をマークし、3位の中国(87点)を大きく上回った。

 男子フリースタイルでも、同国から7年ぶりのアジア・チャンピオンに輝いた57kg級のハン・チョンソンが世界王者へ。男子の世界一は2014年のヤン・キョンイル(57kg級)以来。61kg級も5位に入賞し、国別対抗得点は8位。

▲世界選手権・男子フリースタイル57kg級はアジア王者のハン・チョンソンが優勝。往年の軽量級王国が復活する!

 男子グレコローマンは、2024年パリ・オリンピック60kg級で銅メダルを取ったリ・セイウンが、3月のアジア選手権優勝に続いて銅メダルを獲得。今後、同選手がチームを引っ張り、全体が飛躍する可能性は十分にある。

4月のアジア選手権(キルギス)に注目

 北朝鮮は、以前から男子の軽量級で強さを発揮してきた。2019年には女子53kg級でパク・ヨンミが世界チャンピオンに輝き、女子でも台頭を始めたが、2021年東京オリンピックは新型コロナウィルスの蔓延を理由に不参加。国際オリンピック委員会(IOC)は「正当な理由」として認めず国際大会参加停止を科し、2023年途中まで国際大会に参加できなかった。

 制裁が解除され、2023年アジア大会で「金1」(女子62kg級)を獲得。2024年春のパリ・オリンピック予選で男女4選手(男子グレコローマン1・女子3)が勝ち抜いた。パリには、女子1選手が辞退(理由不明)して3選手が出場し、男女1選手ずつが銅メダルを獲得。リ・セイウン(前述)は初戦で2021年世界王者を破った。

▲男子グレコローマンをけん引するパリ・オリンピック60kg級3位のリ・セイウン。北朝鮮グレコローマン2人目の世界王者なるか

 同年11月の世界軍隊選手権(アルメニア)では、男子フリースタイル2階級、女子4階級、男子グレコローマン1階級を制し、徐々にに国際舞台での試合感覚を回復していった。

 2025年に入ると、4月のアジア選手権の女子で「金2・銀4・銅1」を取り(国別対抗得点3位)、男子フリースタイルは「金1・銅1」、男子グレコローマンは「金1・銅3」を獲得。6月のU23アジア選手権には各スタイル2選手が出場し、女子が「金2」、男子フリースタイルが「金1・銅1」、男子グレコローマンが「銅1」を獲得して強さを見せた。

 国際舞台への復帰後はU17やU20の国際大会には出場していなかったが、昨年はアジア・ユース大会(U17対象)に女子と男子フリースタイルに各2選手が参加。女子1選手が優勝し、男子1選手が2位。コロナ禍で途絶えたことが予想される若手世代の強化も進んでいることがうかがえる。

▲あどけない顔だが、女子50kg級で世界最強に君臨するウォン・ミョンギョン

 朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、世界選手権での活躍を「全国に喜びと歓喜をもたらした」として大きく報道し、金正恩総書記の賞賛のコメントも掲載された。「世界で勝てる競技」として国を挙げてのさらなる強化が予想される。

 まず4月のシニア・アジア選手権(キルギス)、6~7月の各世代のアジア選手権での北朝鮮の動向に注目が集まる。

 
 
 
 
 
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