2026.01.07NEW

2026年世界レスリング界の注目(3)…米国・男子フリースタイルの「世界グランドスラム」はあるか?

 2025年の世界の男子フリースタイルは、米国が躍進した年だった。U17、U20、U23の世界選手権の国別対抗得点で優勝し、シニアの世界選手権ではイランと11点差の2位。あとわずかで、同一年に全世代の世界選手権の国別対抗得点を制する「世界グランドスラム」を達成するところだった。

▲U23世界選手権の国別対抗得点で優勝した米国。3世代の世界選手権で団体世界一を達成した=UWWサイトより

 2017年にU23世界選手権がスタートして以来、男子でU17・20・23世界選手権の3世代で国別対抗得点を制したのは、昨年の米国が初めて。

 57kg級のルーク・リルダール(20歳=ペンシルベニア州立大)は、2022年にU17、2024年にU20、昨年U23の世界選手権を制し、個人での「世界グランドスラム」も視野に入れ始めた。米国レスリング協会によると、3世代の世界選手権を制した男子選手は初。昨年のシニア世界選手権は、国内予選の最後で2024年パリ・オリンピック2位のスペンサー・リーに敗れて代表を逃したが、パリ・オリンピック銀メダルのリーも、すでに追われる立場。その地位は安泰ではない。

▲3世代での世界一を達成した57kg級のルーク・リルダール。今年はスペンサー・リーを退けてシニア世界選手権に出場か?=UWWサイトより

 シニア世界選手権には、86kg級で全米大学(NCAA)選手権2度優勝のザヒド・バレンシア、92kg級でUWWの「ブレークアウト・レスラー・オブ・ザ・イヤー」(シーズン前はさほど注目されていなかったが、一気にブレークした選手)に選ばれたトレンド・ヒドレイ、97kg級にオリンピック3度連続出場のカイル・スナイダーの3階級で優勝。

 メダル獲得は逃したものの、18歳のジャックス・フォレスト(61kg級=5位)と19歳のピーター・デューク(70kg級=11位)の若手2選手が代表入りしており、前述のリルダールを含めてベテランと若手がいい形で混在している。2026年はシニア世界選手権でも国別対抗得点を制する可能性は十分。

 これまでロシアやイランが勝つことの多かった世界の男子フリースタイルは、米国が主導権を奪うか。

▲世界チャンピオンに返り咲いた97kg級のカイル・スナイダー。LA2028まで米国チームを支えるか


各世代世界選手権・男子フリースタイルの優勝国と米国成績pdfファイル

※2024年シニア世界選手権は非オリンピック階級

シニア U23 U20 U17
優勝国 米 国 優勝国 米 国 優勝国 米 国 優勝国 米 国
2025年 イラン 2位 米 国 優勝 米 国 優勝 米 国 優勝
2024年 ジョージア 4位 イラン 5位 米 国 優勝 米 国 優勝
2023年 米 国 優勝 米 国 優勝 イラン 2位 イラン 2位
2022年 米 国 優勝 ジョージア 3位 イラン 2位 米 国 優勝
2001年 ロシア 2位 ロシア 7位 イラン 3位 米 国 優勝

▲18歳でシニア世界選手権出場を果たした61kg級のジャック・フォレスト。U23世界選手権では見事に世界一へ

▲NCAA2度優勝のザヒド・バレンシア。国際舞台(86kg級)でも台頭を始めた=UWWサイトより

▲世界的には無名の存在だったが、一気に世界一へ駆け上った92kg級のトレンド・ヒドレイ=UWWサイトより