15年くらい前にスタートし、多くのオリンピック選手、世界トップ選手が参加したMTX GOLDKIDS主催の年末合宿が、今年も12月25~28日、東京・青少年総合センターでスタート。オリンピック選手や世界選手権出場選手など豪華コーチ陣が幼児から高校生までの未来のレスラーを直接指導した。
今年は、日体大女子を指導している田南部力監督、全日本王者を維持した石黒峻士(MTX GOLDKIDS)、全日本2位の塩谷優(自衛隊)、同3位の鈴木絢大(レスター)らが指導陣として参加。27日には実戦練習として第3回「高谷惣亮杯」が開催され、高谷惣亮(拓大職)・大地(自衛隊)の兄弟も参加。選手は練習と試合によって今年最後の実力養成に励んだ。
15年前のスタート時は、1面マットでの実施。評判を聞きつけて多くのチームが参加することになり、2021年東京オリンピックで金メダルを取った乙黒拓斗(現自衛隊)や須﨑優衣(現キッツ)、世界チャンピオンに輝いた尾﨑野乃香(現慶大)や髙橋海大(現日体大)らも参加したことがある。
今年の場合、北は秋田県、南は香川県や徳島県からも参加。来日中の韓国ジュニアチームや、MTX GOLDKIDSの成國晶子代表のつてで台湾からの選手もいて、26チーム144選手(大会のみの参加を含む)が参加する“国際合宿”となり、3面マットで汗を流した。
徳島県から3選手とともに参加した「ジョイフル」は、3年連続での参加。佐藤仁貴監督(神奈川大レスリング部OB)は長男・剛己が今年7月の全国少年少女選手権・4年生36kg級で優勝しており、他の部員とともにレベルアップ求めての参加だ。
遠距離移動してまでの参加する理由を「ふだん、関東の選手と練習する機会がありません。成國先生や世界トップクラスの選手の技術指導を受けられる貴重な機会ですので」と説明する。宿泊費のほか、東京までの交通費もばかにならないが、夜行バスで移動するなど経費削減の努力で乗り切る。「それだけのことをしても、参加するメリットがあると思っています」と言う。
過去2回を振り返ると、ふだん触れあうことのない関東の選手と接するメリットが大きいと言う。実際に、四国の選手相手に通じる技でも関東の選手には通じないことが多く、「関東のレベルの高さを知ることで、ふだんの練習に臨む姿勢が変わってほしい」と言う。
レスリング経験者ではない久原幸典コーチは、指導方法を学ぶ意味でも貴重な経験だと言う。徳島県にいては、韓国選手や全日本トップ選手の技術に接することはできない。「どういう指導をしているのか、非常に興味があります」と言う。
今年の全日本選手権への出場選手数で、東京都出身の選手が断トツの1位だったが(関連記事)、「子供の頃から全日本トップ選手の指導を受けたりして、ハイレベルの指導を受けているからだと思います。ウォーミングアップからして学ぶことが多いです。指導者にとっても勉強になります」と説明した。
徳島県は、オリンピック選手をのべ13人輩出しており、かつては四国の1強。というより、他の3県にレスリング部のある高校がない時代も長かった。現在は逆で、パリ・オリンピックに香川県、愛媛県、高知県から出身選手が出場したが、徳島だけいなかった。佐藤監督は「その悔しさはありますね。復活させて、徳島からオリンピック選手を出したい」と語気を強めた。
低迷の原因は、キッズ・レスリングの普及がなかったからと推測する。高校からレスリング始める選手だけでは、勝ち抜くのは厳しいのが昨今の状況。他の3県では、オリンピック選手が出たことでキッズ選手が増えているそうで、さらなる発展が見込める。オリンピアンの存在は選手数の増加で大きなパワー。まず強豪を1人つくることが必要。そのためにも関東のレベルを吸収できる機会を歓迎した。