2025.12.28

【2025年全日本選手権・特集】U23世界王者の実力を見せて初の日本一へ…男子グレコローマン60kg級・五味虹登(育英大)

 今年夏から、全日本学生選手権と国民スポーツ大会で連続優勝し、U23世界選手権でも勝った五味虹登(育英大)が2025年全日本選手権でも優勝。初の日本一に輝き、「大学の大会などでは優勝したことがありますが、全日本の大会では決勝にすら進めなかったので、優勝は素直にうれしいです」と喜んだ。

▲初の日本一に輝き、ガッツポーズの五味虹登(育英大)=撮影・矢吹建夫

 夏以降、調子がよかったことは確かだが、全日本選手権ともなれば違うのは言うまでもない。「初戦から強い相手が続いて、気をゆるめることができなかった」という言葉は、もっともだろう。初戦で全日本選抜選手権優勝の実績もある河名真偉斗(自衛隊)を7-6で下して波に乗った。

 決勝の相手の塩谷優(自衛隊)は、国民スポーツ大会準決勝で対戦し、1分8秒でフォール勝ちした相手だが、6月の全日本選抜選手権では1点も取れずにテクニカルスペリオリティ負けしている。気のゆるみなどなく闘い、テクニカルスペリオリティで勝利。実力アップを示した。

▲塩谷優との決勝は、一本背負いで4点を先制、ローリングに続けて一気に勝負を決めた=撮影・矢吹建夫

文田健一郎、稲葉海人らの壁を乗り越えられるか

 パリ・オリンピック王者の文田健一郎(ミキハウス)は復帰戦として63kg級にエントリーしたが(負傷のため棄権)、いずれこの階級に戻ってくるはず。今年の世界選手権代表の稲葉海人(滋賀県スポーツ協会=負傷のため欠場)は、国民スポーツ大会決勝で終了間際に逆転勝ちしたとはいえ、地力ではまだ稲葉に分があるだろう。

 今回は勝ったとはいえ、2023年アジア大会で銀メダルを取った鈴木絢大(レスター)もこのままでは終わるまい。五味もその状況はきちんと把握しており、「優勝したといっても、考えながら練習し、努力し、次の大会で勝てるようにしたい」と気を引き締めた。

▲U23で世界一に輝いた五味虹登。シニアの舞台で再現できるか=UWWサイトより

 3月の卒業後もレスリングに打ち込める環境を得た。「オリンピックでの優勝が目標なので、そこに向かってひとつずつ勝っていきたい」と言う。昨年のU20アジア選手権を制し、今年のU23世界選手権で優勝したものの、これまでシニアの国際大会は経験したことがない。来年4月のアジア選手権が初めてになり、新たな挑戦となる。「やることは変わらないと思うので、しっかり攻めるレスリングをしていきたい」と気合を入れる。

 文田健一郎の復帰が遅れ、稲葉海人や鈴木絢大が足踏みしている中、五味が一気に飛び出るか。高校3年生の全国高校生グレコローマン選手権で優勝するまで全国王者のなかった選手が、世界のトップを視野に入れている。