第5回本庄市民レスリング大会が12月14日、本庄総合公園体育館(シルクドーム)で行われ、埼玉県と周辺の都県から130選手(キッズ101選手、中学生11選手、一般男子16選手、女子2選手)が参加した。本庄ケーブルテレビが取材に訪れるなど、地域に密着した大会となっている。
キッズの部は4人1組のトーナメント、または3人1組のリーグ戦。トーナメントの1回戦で負けた2選手は3位になるとともに、大会の最後に行われるチーム戦に出場。赤と青に分かれて団体戦(今大会は17試合)が行われ、チームとしての勝敗を競う。
吉澤昌・実行委員長(SKアカデミー代表)は、4人1組のトーナメントとし、3位決定戦を実施しない理由を「参加した選手全員にメダルを授与するため」と説明する。ただ、それでは1回戦で負けた選手は1試合しかできなくなるので、チーム戦へ出場してもらい、必ず2試合闘ってもらうシステム(3者リーグ戦は、3選手とも2試合闘う)。
3位決定戦ではなく「参考試合」として実施する考えもあるが、チーム戦とすることで「参考試合」より真剣味が増すため、この方式を取り入れた。今大会のチーム戦は8勝8敗で最終試合を迎え、最後まで熱の入った闘いが展開されて、吉澤実行委員長も満足そう。
同委員長は「選手にとっては1大会ごとが思い出となる大会。きちんとした形で残してやりたい」と、IDカードやパンフレットにもこだわり、経費はかかってもビジュアル面での質を下げないよう努力を続けている。
埼玉県のレスリングといえば、埼玉栄高校と花咲徳栄高校が全国トップレベルの実力を持ち、両校の激突は「実質的なインターハイ決勝」と表現しても過言ではない年もあった。しかし現在、同県でレスリングのある高校は2校のみ。本庄市のある県北地域ではレスリングの普及が遅れている。
立ち上がったのが、本庄市出身でサンボ選手だった吉澤昌氏。2019年1月、上越新幹線・本庄早稲田駅近くにサンボ、レスリング、キックボクシングなどの「本庄道場」(現SKアカデミー本庄道場)を開設。2021年12月に本庄市の協力を得て第1回本庄市民レスリング大会をスタートし、県北地域のレスリングの普及に挑んだ。
普及が遅れているのは確かだが、本庄市は吉澤氏の尽力で“レスリング”の世界選手権とアジア選手権を開催したことがある。キッズ教室の老舗(しにせ)木口道場の木口宣昭代表( 2021年9月12日没)が考案したサブミッションホールドも認められている「コンバットレスリング」のアジア選手権が2016年に同体育館で開催され、翌2017年10月には世界選手権が行われた。その後、アジア選手権は昨年までに何度か開催されている。
木口代表も本庄市生まれ。吉澤実行委員長は、初めから木口代表が同郷と知っていたわけではなく、初対面のあと話をするうちに同郷と分かり、協力関係を構築。日本コンバットレスリング協会の理事長に就任し、コンバットレスリングの普及に力を入れるとともに、そのベースでもあるレスリングの普及発展にも尽力している。
現在は東京が本拠地。水道橋でSKアカデミー水道橋を運営し、毎年2月には新宿キッズレスリングトーナメントの開催に尽力(関連記事)。愛知・名古屋アジア大会での総合格闘技(MMA)の採用を機に設立されたジャパンAMMA協会の事務局長としての仕事も加わり、東京と本庄を行き来しながら八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍。この日も選手の熱い闘いを、あたたかく見守っていた。