(注)2026年1月施行のルール改正につきましては、近日中に日本協会審判委員会から発表される予定ですが、UWWウェブサイトには、改正の概要(クリック)と2026年ルールブック(クリック)が掲載されています=とも英語のみ
世界レスリング連盟(UWW)は12月12日、国際ルールの改正や明確性を発表。階級区分は、次のオリンピック・サイクルも変わらないこと(注=2029~32年を指すものと思われる)や、同点で試合が終了したときの勝敗決定方法を正式に決めた。
今回のルール改正で、試合に大きな変化が起こると思われるのが、グラウンド状態で場外へ出た場合のポイント。これまでは、防御している選手がスタンド状態でプロテクションエリアから外へを踏み出した場合(ステップアウト)、相手に1点が与えられたものの、ひざをついた状態で場外へ出た場合は、場外によるブレークとなってポイントは入らなかった。このルールを利用し、場外際に押し込まれて形勢が不利になると膝をついた状態となり、場外に出されても失点にならない状態をつくるケースが少なくなかった。
新ルールでは、「防御側のレスラーがグラウンドポジション(膝をついた状態)でプロテクションエリアから踏み出した場合は、踏み出しとみなされ、攻撃側のレスラーに1点が与えられる」という条文が加わった( However, in situations where the defensive wrestler steps out of the protection area in a grounded position (on the knees), it shall be considered as stepping out and the attacking wrestler shall be awarded 1 point. )。
日本協会の沖山功審判委員長によると、膝をついて場外に出た場合、場外の1失点と、場外逃避の1失点の計2失点になるケースもあると言う。
男子グレコローマンの同点で試合が終了した場合の勝敗決定は複雑となり、テクニカルポイントが、相手にパシビティーを与えてのポイントや相手陣営のチャレンジ失敗によるポイントよりも優先されて決まることになった。
今年、男子グレコローマンで1-1で試合が終了した場合、先取ポイントを取ったレスラーが勝者となるテスト・ルールが実施された。新ルールでは、両選手ともパシビティーによるポイントで1-1の場合は、先取点を取った選手が勝者となるが、赤がパシビティーで1点を取ったあと、青がテクニカルポイント(場外ポイント、下からのスイッチで体勢を入れ替えて上になる等)で1点を取って1-1で終わった場合は、テクニカルポイントを取った青が勝者となる。
その他、U15、U17、ベテランの試合では、口頭での注意なしにパシビティーを宣告するなど、細部の変更が行われる。
UWWは、すべての新ルールは2026年1月1日から適用するとしている。沖山審判委員長は、国内の協会主催の大会としては、3月に予定されている男子のU15・23全日本選手権から実施する方向を示した。