2025.12.01

2人の世界チャンピオンを生んだ「クリナップ」がキッズ体験会を開催

 今年の世界選手権で2人のチャンピオン(青柳善の輔=男子フリースタイル70kg級、石井亜海=女子68kg級)を生んだクリナップが、さらなる飛躍を目指し、11月30日、都内の東洋大レスリング場で社員と家族を対象に「レスリング体験会」を実施。全社一丸となっての応援体制を目指してレスリング・チームの存在をアピールした。

▲2人の世界チャンピオンを誕生させたクリナップが、全社団結を目指して実施したレスリング体験会参加の人たち

 世界一に輝いた青柳、石井両選手のほか、国民スポーツ大会・男子フリースタイル65kg級3位の榊流斗、世界選手権5位の実績を持つ前田翔吾監督、2021年東京オリンピック代表の皆川博恵副監督(2019年世界選手権2位)が参加。現役を退いているがアジア選手権2位の実績を持つ進藤芽伊さんも、当初は撮影係だったが、保護者の希望で途中から練習相手としてマットに上がった。

 クリナップ・レスリング部発祥の地、福島・いわき市にある「クリナップキッズいわきレスリングクラブ」の選手を含めて親子で約35人が世界チャンピオンほかの指導を体験した。

 練習の最後は、選手・保護者のリクエストで、青柳と石井の世界チャンピオン同士のスパーリングが実現。最後に青柳のタイミングのいい飛行機投げが決まり、参加者は世界トップ選手が繰り出す技に舌を巻いた。

▲体験会に参加した(左から)石井亜海、青柳善の輔、榊流斗の現役選手。全日本選手権での健闘も誓った

▲前田翔吾監督(左から2人目)と皆川博恵副監督(右)

 仲井良憲部長は「これまでにも皆川など強い選手は出てきましたが、(単発だったので)社員との間には距離があったのが現実です。2人が世界チャンピオンになったことを機に、その距離を縮めたいと思い、実施しました」と開催の経緯を説明。

 選手が活躍していても、雲の上の出来事のように感じて会場に応援に行く気持ちになれない面もあったと振り返る。接点をつくることでレスリング部の存在を身近に感じてもらい、多くの人が応援してくれることを望んだ。

 応援に来ても、選手があっさり負けてしまっては、それが続かない。2人の世界チャンピオンが参加する今度の全日本選手権(12月18~21日、東京・駒沢体育館)、さらに2028年ロサンゼルス・オリンピックまでの道は、決してそんなことはないので「多くの社員に会場に来てもらい、社を挙げて選手を応援したい」と言う。

▲レスリング選手の練習に必要不可欠なロープ昇りを紹介。青柳善の輔が簡単に5往復すると、大きな拍手が湧き上がった

 体験会を指揮した前田監督は、選手時代から「どうやってスポーツの価値を社員の方に伝え、応援してもらうかを考えていました」と言う。単に「応援に来てくれ」とお願いしても、ルールやレスリングのすごさを知らず、選手に馴染みがないようでは、来てくれるものではない。「こうした体験会によって、少しでも理解してもらうことが、ファンを増やすことにつながる」と開催意義を説明。

 まったくの初心者の指導はやったことなく、その点で不安はあったようだが、「クリナップキッズ」で経験している選手もいて率先してくれたので、大きな戸惑いはなかったそうだ。今回の試みを契機として、「レスリング熱を高めていきたい」と話した。

▲体験会の最後に実現した青柳善の輔と石井亜海の“世界チャンピオン対決”


 ■榊流斗「今回の体験会によってレスリングを好きになってもらい、私たちの試合を応援していただくと、とてもうれしいです。来月(12月)、3人は全日本選手権に出場します。応援にこたえられるように、しっかり頑張ります」

 ■青柳善の輔「こうした機会を通じてレスリングが発展していくと思います。少しでも興味を持っていただければ、と思います。今はスマホでも動画を見られるので、全日本選手権での試合を見ていただければ、うれしいです。これからは階級を上げて74kg級で闘います」

 ■石井亜海「会社は、選手を育ててくれるだけでなく、レスリングの発展に協力しています。試合で結果を出すだけでは、社員の方との距離間はなかなか埋まりません。こういう機会を大事にしていきたい。全日本選手権は、やはり結果を出すことが大事。しっかり結果を出したい」


▲青柳善の輔の正面タックルの紹介

▲石井亜海の片足タックルの紹介

▲スパーリング参加を怖がる子供の背中を押す母親、やさしく手招きする皆川博恵副監督

▲元アジア選手権2位の進藤芽伊さん。最初は社内報用の写真撮影だったが(左)、血が騒ぎマットへ(中)、最後はサイン攻め(右)

▲国士舘大時代の1995年学生二冠王者の横瀬二郎さん(福島・いわき事業所勤務)も最後はマットへ