2025.11.14NEW

「ドミトリ・コーキン国際大会」(ロシア)で活躍した日本選手…レスリング熱が熱いヤクーツク

 山梨学院大チームが参加する2025年「ドミトリ・コーキン国際大会」(11月15~16日、ロシア・ヤクーツク)は、同じシベリアにあるクラスノヤルスクで開催されてきた「ヤリギン国際大会」とともに、ロシアのトップ選手が数多く参加する男子フリースタイルの国際大会。

 2019年まで実施され、翌年から2年間はコロナ禍のため中止。コロナがある程度収束した2022年から再開され、イランなどが参加していた。ただ、ロシアのウクライナ侵攻によって世界レスリング連盟(UWW)はロシアでの大会を公認していない。今年、山梨学院大に招待があり、日本から6年ぶりに参加することになった。

 ヤクーツクは北緯62度にある地(前述のクラスノヤルスクは北緯56度)。冬季には気温がマイナス30度を下回る日が続き、マイナス64.4度を記録したこともある。それだけに室内スポーツであるレスリングは盛ん。オリンピックを含めて世界を5度制した高田裕司・日本協会元専務理事のライバルだったロシア選手の出身地であり、日本に対する憧憬の気持ちは強い。

 2019年3月に同地で行われた団体戦「ワールドカップ」には日本も参加し、帯同した井上謙二監督(現日本協会・強化委員長)が「隣の人の声も聞こえないくらいの声援。こうした中で闘えば、精神力もつきます。プラスの多い遠征でした」と振り返るほど、レスリングに対する熱い思いのある地(関連記事)。

 同年のワールドカップのあと、ロシア協会のアルセン・ファザエフ副会長(1988年ソウル・92年バルセロナ・オリンピックを含めて8度世界一)は、財政基盤を含めたサポート体制がしっかりしていることを評価し、ワールドカップのヤクーツク恒久開催の考えも示したほど(関連記事)。

▲満員の観客の熱い声援の中で行われた2029年ワールドカップ=撮影・保高幸子

 世界8ヶ国が集まっての団体戦であるワールドカップは、開催時期の問題に加え、ロシアの国際大会参加停止もあって2022年を最後に開催されていない。ロシアのウクライナ侵攻が解決し、再開された場合は、ワールドカップの“定住地”となる可能性もある。

 これまでの「ドミトリ・コーキン国際大会」でメダルを獲得した日本選手は下記の通り(提供=Petr Semenovich Pavlov記者)。世界王者になる前の成國大志(当時青山学院大)や、階級アップを考えていた樋口黎(当時日体大助手)が65kg級に出場したこともある。


▲2014年大会65kg級2位・前田翔吾(クリナップ)

▲2014年大会57kg級2位・湯元進一(自衛隊)

▲2016年大会65kg級優勝・高谷大地(当時拓大)

▲2017年大会57kg級3位・長谷川敏裕(当時日体大)と湯元健一監督

▲2019年大会61kg級2位・小栁和也(当時自衛隊)。前列右は57kg級・藤田雄大、左は65kg級・磯次郎(ともに自衛隊)