バーレーン・マナマで行われた2025年第3回アジア・ユース大会に出場した日本チームが10月31日、成田空港に帰国した。男子は「金1・銀2・銅1」で国別対抗得点は3位。女子は「金2・銀1・銅3」を取り、国別対抗得点は131点で優勝した。
吉岡治団長(京都・丹後緑風高教)は「(U15やU17の)世界選手権やアジア選手権の経験のある選手が多かったので、競技以外の部分は安心して見守ることができました。試合は、総合競技大会ということで硬くなっていた選手もいましたが、だれもがしっかり闘うことができたと思います。ただ、金メダルはもうちょっとほしかったですね」と総括。
女子49kg級で全試合を1分以内で勝った勝目結羽(愛知・至学館高)は、けがの後遺症も多少感じられたが、危なげなく圧勝を続け、「もう、シニアの舞台でどこまでやれるかな、というレベル」とのこと。同53kg級でU17世界チャンピオンを破って優勝した小塚菜々(三重・いなべ総合学園高)は、最初に返し技でポイントを取られたが、取り返しにいってテクニカルスペリオリティで勝つあたりはトップ選手の実力を感じたという。
自身が高校で教えている男子フリースタイル48kg級優勝の牛窓勝心(京都・丹後緑風高)は、7月のU17世界選手権で負けた相手にリベンジし、その勢いを続く試合に持ち込んでの優勝と評価した。全体的に「攻める選手が優勝している。躊躇(ちゅうちょ)して1点でも取られてしまうと、追いつかないケースが多かった」と振り返った。
イランがやや元気がなかったと感じる一方、男女を通じてウズベキスタンが昇り調子で、北朝鮮も脅威を感じたと言う。
田野倉翔太監督(東京・自由ヶ丘学園高教)は「表彰はなかったが、(UWW算出の)国別対抗得点は女子が優勝、男子は3位。女子の1位は久しぶりと聞いています。この大会にかけている国が多かった中での優勝は価値があると思います」と、選手の頑張りを評価した。
U17の女子は、アジア選手権は2022年から2位、2位、3位、3位で優勝から遠ざかっていた。今大会の“アジア・チャンピオン”は2019年以来となる(2020・21年はコロナで大会なし)。再浮上へのめどが立ったアジア・ユース大会となったようだ。
■赤坂美里コーチ(千葉・野田中央高教)「勝目はダントツの優勝、小塚も自分のレスリングで勝ち切れました。全体として、あと一歩攻めが足りなかったり、ポイントを取り切れない、という部分がありました。(今年帯同した)アジアと世界の大会から通じて、攻める選手が勝っています。今後に向けて強化していきたい」
■砂川航祐コーチ(福島・ふたば未来学園高)の話「攻めないと勝てない、の一言です。そこを貫けるメンタルと度胸のある選手は勝てています。逆転負けとか、もったいないと感じる負け試合もありました。各所属でしっかりと強化してほしいと思います」
■男子フリースタイル48kg級・牛窓勝心(京都・丹後緑風高=U17世界選手権で負けたイラン選手に雪辱しての優勝)「金メダルを日本に持って帰国できたことに、一安心しています。海外で活躍できたことで、日本で闘うことに大きな自信となりました。(試合時間が高校の大会と違って)4分なので、先にポイントを取られてしまうと、海外の選手は粘ってくる。先に攻めて、自分が優位に持っていけたことが勝因だと思います。
国際大会は2回目なので、特別な緊張はなく、けっこうリラックスして闘えました。このあとは、国内では高校の三冠(全国高校選抜大会、インターハイ、国民スポーツ大会)を取り、海外では世界大会の優勝を目標にします」
-------------------
■女子49kg級・勝目結羽(愛知・至学館高=全試合1分以内の決着で優勝)「うれしいんですけど、課題だったタックルにあまり入れなかったので、少し悔しさもあります。(今夏のけがの影響は?)少しありました。でも、タックルに行ってポイントを取ることが目標でしたので、悔しさが残ります。
U17世代での大会は今回が最後。今後はU20やシニアの大会が目標です。次の大会は来年4月のジュニアクイーンズカップになります(注=全日本選手権は、年齢はOKだが出場資格なし)。期間があくので、その間、じっくりと鍛えたい。U20世代での闘いでも優勝が目標。この世代でも優勝を続けたい。シニアの舞台で闘うときは表彰台が目標です」
-------------------
■女子53kg級・小塚菜々(三重・いなべ総合学園高=初戦でU17世界チャンピオンを破って優勝)「優勝できて、ホッとし、うれしいです。最初の相手が世界チャンピオンだと分かり、最初からタックルで攻めました。自信になり、勢いがついたことが勝因だと思います。(国際大会は4大会目だが)やはり緊張はありました。
今年は、U7世界選手権を辞退して(同時期の)インターハイにかけたのですけど、決勝で負けてしまいました。その分、この大会の優勝を目標にしましたので、勝ててよかったです。総合競技大会で、オリンピックに近い形で参加できたので、オリンピックに出たい気持ちが高まりました。次はU20での試合なるので、そこでも勝ち切って世界選手権の優勝を目標にしたい」