10月18日に東京・駒沢体育館で行われた2025年全日本大学グレコローマン選手権第1日の準々決勝と準決勝の間の空き時間を使い、パリ・オリンピック金メダリストの文田健一郎選手(ミキハウス)、今年の世界選手権で優勝した青柳善の輔選手(クリナップ)、森川美和選手(ALSOK)、尾西桜選手(日体大)参加によるグレコローマンの練習会が行われ、近郊のキッズクラブの選手、約50人が参加した。
欧州ではキッズ選手のグレコローマンが普通に行われているが、日本では今年、やっと中学生のグレコローマンがスタートした段階。キッズ選手は、グレコローマンを覚えてもすぐに試合で試す機会はないが、文田選手は「グレコローマンの技術はフリースタイルでも役立つことが多い」と訴え、グレコローマン流の組み手や体重のかけ方などを指導。危険のないよう、スタンドではなくひざをついた状態からの技の掛け合いなどを行った。
マットサイドで見ていた青山学院大の長谷川恒平監督や育英大の松本隆太郎監督の2012年ロンドン・オリンピックの男子グレコローマン代表も、若い選手がグレコローマンに取り組む姿に血が沸いたのか、いつしかマットに上がって技術指導。スパーリングの時間になると、選手から相手を求められた。
その後のサイン会・撮影会では、色紙やTシャツにサインを求める選手や記念撮影を要望する選手が続出。オリンピック代表や世界チャンピオンは、キッズ選手からあこがれの存在であることが示された。
発案者のパリ・オリンピック銀メダリスト、高谷大地選手(自衛隊)は「草の根レベルで、地道にレスリングを普及させていきたい」と話した。今回は諸般の事情で選手集めの期間が短かったが、次回より募集期間をたっぷりとり、多くの選手が参加できるよう改善していきたいという。