2025.10.20NEW

10.20~27U23世界選手権(セルビア)出場の女子チームが出発

 10月20日(月)からセルビア・ノビサドで行われる2025年U23世界選手権に出場する女子チームが10月19日、成田空港から出発した。

 昨年は、一昨年の5階級制覇から優勝選手を減らし、「金2・銀1・銅3」。国別対抗得点では、2017年の大会スタート以来、コロナで不参加だった2021年を除いて初めて優勝から見離された。柳川美麿監督(育英大教)は「今年は優勝を目指します」と、王座奪還を宣言。

▲セルビアへ向かった女子チーム

 世界の注目となっているのが、先月のシニア世界選手権を制した62kg級の元木咲良(育英大助手)のオリンピックと4世代の世界選手権を制覇する「世界グランドスラム」達成であり、57kg級へアップした藤波朱理(日体大)の連勝記録の更新。世界レスリング連盟(UWW)のホームページやフェイスブックで大きく取り上げられている。

 柳川監督にとって、元木はふだんから練習を見ている選手なので心配はないが、藤波については日体大の田南部力監督に調整方法を聞くなどし、勝たせるために全力を尽くす腹積もり。「私たちができるのは、ウォーミングアップを見守り、けがをさせないことなどですが、コンディションづくりは徹底していきたい」と話した。

3人のパリ金メダリストに対抗できる肩書がほしい…元木咲良

 元木は「世界選手権が終わってから、あっという間だったな、という気持ちと、グランドスラムを目指して頑張りたい、という気持ちです」と出発前の心境を話した。帰国してから3日くらい練習を休み、その後の2週間をいつもの練習、その後は調整練習という内容でこの日を迎えた。

 プレッシャーはあまり感じてなく、「いつも通りにするだけ」とのこと。日本代表としての海外遠征では初めて育英大の柳川部長が監督として帯同するので「心強いです。いつもならガチガチに緊張する場面でも、楽にしてくれると思います」と言う。

 その柳川監督から「対戦相手の研究禁止」の指令が出たという。相手の特徴を知って対策を練ることは、相手の技を防ぐのに役立つが、守ることに意識がいってしまい、自分のレスリングができなくなる危険と隣り合わせ。「攻めることに意識をもっていくため、研究禁止になりました」と言う。

 「不安でない?」との問いに、「ちょっと不安です」と苦笑いしながら、「(藤波)朱理ちゃんは100何連勝、(桜井)つぐみちゃんはオリンピックを合わせて(世界大会を)4連覇して、(鏡)優翔ちゃんは日本人初の最重量級金メダルで、私だけ何もない。3人に対抗できる肩書がほしい」と、達成すれば史上3人となる「世界グランドスラム」への思いを話した。

▲UWWも注目する偉業に挑む藤波朱理(左)と元木咲良

体つくりや強化してきた部分の「発表会」…藤波朱理

 パリ・オリンピック以来の国際大会となる藤波は「緊張感もありますが、それ以上にわくわく感が強いです」と言う。出場をスルーした先月のシニア世界選手権のときは、日本選手を応援しつつ、「うずうずというか、我慢の期間でした。いよいよ自分もスタートするんだ、という気持ちになりました」と言う。

 53kg級のときは、出発のときは減量でかなり体力を消耗していたそうだが、今回は「余裕があるというか、いい感じで調整できています」と言う。海外の57kg級の選手と闘うのは初めてで、どう感じるかはっきりとは分からない状況だが、「フィジカルの強化をしてきた。通じるかどうか、楽しみな状態。体つくりや強化してきた部分の発表会だと思っています」と表現した。

 前日が2028年ロサンゼルス・オリンピックまで「あと1,000日」だったことにからめ、「今回が57kg級のスタートで、ここから始まるという気持ち。どういう道のりになるかは分かりませんが、最終的にロサンゼルスで金メダルを取るのは私だと思っているので、その道を楽しみたい」と、明るい表情で話した。