2025.10.06

2017年以上の惨敗に「攻撃的なレスリングに戻りたい。必死に頑張りたい」…デニス・ツァルグシュ・ロシア男子フリースタイル・ヘッドコーチ

 クロアチアで行われた2025年世界選手権では、中立の立場(UWW)として出場したロシアが全体的に不調で、3スタイルを通じて、優勝は男子フリースタイル61kg級のザウール・ウグエフのみという不振。規定で国別対抗得点には絡まないことになっているが、仮に計算したとしても、どのスタイルも3位に入ることはできなかった。

▲昨年の世界選手権は小野正之助に敗れたザウール・ウグエフ。階級アップから1年以上が経ち、今年はロシアの中で唯一、気をはいた

 男子フリースタイルのデニス・ツァルグシュ・ヘッドコーチ(2009・10・14年世界王者)はロシア・レスリング協会のウェブサイトに対し、「ザグレブに向かったとき、私はチームに自信がありました。メンバー構成も気に入っていました。もし、『(チーム構成を)後悔しているか?』と聞かれたら、(次も)同じメンバー構成で臨むでしょう」と話し、選手の持っている実力を信じるコメントを話した。

 同監督は、優勝したウグエフについて、大会前から「今まで一度も勝ったことがないかのように、だれよりも一生懸命練習していた。それがこの結果だ」と、階級を上げて世界一になった要因を「猛練習」と分析。

 74kg級で、2018~23年に国際大会の無敗を続けていたザウルベク・シダコフ(今年の欧州選手権決勝は負傷もあって黒星)が、準決勝で欧州王者のチェルメン・バリエフ(アルバニア)に敗れながらも、続く3位決定戦で米国選手を破って銅メダルを取ったことを評価。

 自身の現役時代の2011年世界選手権で、2回戦でジョーダン・バローズ(米国)に敗れて2年半にわたる国内外の連勝がストップしたあと、敗者復活戦を勝ち抜くことができなかったことを引き合いに出し、「長い間、だれにも負けていなかった選手が負けてしまうと、すぐに立ち直るのは非常に難しいもの」と説明。その壁を乗り越えたシダコフは「鉄の意志を持っています。このメダルはチームにとって非常に重要です」と話した。

▲準決勝で敗れながら、3位決定戦で勝って銅メダルのザウルベク・シダコフ

 65kg級で清岡幸大郎(カクシングループ)に敗れたイブラヒム・イブラヒモフは「(清岡の)オリンピックのタイトルが少し邪魔(意識しすぎ)だった」と分析。3位を逃したことについて、「清岡との試合で燃え尽きたからだと思う。最低、銅メダルは取ってほしかった」と、シダコフ並みの精神力を求める一方、ロシアの65kg級はハイレベルの激しい闘いが行われているので、ロシア代表は「必ず金メダルを狙える」と話した。

 同ヘッドコーチは本来、ロシア・ジュニアチームのヘッドコーチだった。今年5月、シニアのハジムラト・ガチャロフ・ヘッドコーチが10年前の大会でのドーピング違反を指摘されて活動停止となり(国際スポーツ仲裁裁判所へ提訴)、急きょ代わって指揮した。

 指導手腕が問われるのは、これから。2016年リオデジャネイロ・オリンピック翌年の2017年世界選手権で、ロシアは3スタイルを通じて金メダルがなく、今回以上の惨敗だったことを指摘し(注=国別対抗得点は、男子フリースタイルが2位、男子グレコローマンは優勝)、「そのときと同じで、終盤に負けることが多かった。攻撃的なレスリングに戻りたい。必死に頑張りたい」と締めくくった。