2025.10.06

【2025年国民スポーツ大会・特集】1階級上でも通じたパワーを自信に、世界銀メダリストへ挑む…成年男子フリースタイル97kg級・髙橋夢大(京都・三恵海運)

 2025年国民スポーツ大会の成年男子フリースタイル97kg級決勝は、同じ所属の髙橋夢大(京都・三恵海運)吉田ケイワン(千葉・三恵海運)の対戦となり、階級を上げて出場した髙橋がテークダウンのあと、ローリングを4回転連続で決めて優勝。この大会は、少年時代(京都・網野高)に2年連続で優勝しているが、成年になってからは初めての栄冠を手にした。

 髙橋は1階級上での優勝に、「くじ運がいいところもありましたね」と謙そんし、減量がまったくなかったことで練習通りの動きができたことを勝因に上げた。

▲同じ三恵海運所属の吉田ケイワン(千葉)に勝ち、国スポ初優勝の髙橋夢大

 吉田との“同門決勝”は、あっけなく勝負がついた。吉田は肩の手術を受けてブランクがあり、準決勝までは順調に勝ち上がったが、まだ万全でないもよう。髙橋のローリングにこらえることができなかったことは明白。同僚の吉田が腕を張ってこらえることができなかった“異変”はすぐに感じ取ったようだが、「マットの上では全力を尽くして勝ちにいくだけです」と、力を抜くことをしなかった。

世界での立ち位置は想像できるが、石黒隼士を破らなければ意味なし

 吉田との試合を含め、1階級上の選手との試合に「力負けはしなかった」そうで、これまでの練習は間違っていなかったことを実感。今後は、97kg級でも通じたパワーをもって、本来の86kg級での日本代表を目指すことになる。

▲準決勝(写真)までの3試合に快勝、97kg級でも通じる実力を見えた髙橋夢大

 6月の全日本選抜選手権では、なかなか超えられなかった白井達也(Team SSP)を破ったので、今の目標は、同選手権で4-5の僅差で負けたパリ・オリンピック代表の石黒隼士(自衛隊)となる。その石黒が世界選手権では銀メダルを獲得したことは、大きな刺激材料。

 石黒が闘った5選手のうち、3選手は自分が闘ったことのある相手。石黒が準決勝で勝ったラヒム・マゴマドフ(フランス=この大会は5位)には、昨年のU23世界選手権で髙橋も勝っている。そうした結果などから、世界における今の自分の立ち位置は世界のメダル圏内を感じるそうだ。

▲今年の全日本選抜選手権、一時は自分有利の4ー4とリードしたが、最後に勝ち越された

 しかし、国内で石黒を破らないことには、そんな“見立て”も意味をなさない。12月の全日本選手権では、白井のリベンジを警戒しつつ、石黒を超えることが目標だ。

 手足の長さは石黒の方が上なので、それをかいくぐって中に入るかがカギ。全日本選抜選手権では、いったんはリードしながら「弱い自分が出てしまった。守り切ろうと思ったわけではなく、体が前に出てなかった」との反省。全日本選手権までの約2ヶ月半、その課題を乗り越えるために全力を尽くす。