10月7日(火)~9日(木)にハンガリー・タタバーニャで行われる2025年世界ベテランズ選手権に出場する日本チームが10月4日、成田空港から出発した。昨年は1選手が優勝し、4選手が銅メダルを獲得した。今大会は、昨年に続いてDivisionB(41~45歳)62kg級に藤本健太(三恵海運)が出場し、2019年以来の世界チャンピオンを目指す。
岡田英雅監督(全日本マスターズ連盟理事長)は「2014年から、出場した大会のすべてで優勝選手が生まれている。その伝統を受け継ぎたい」と話す。かつてのオリンピック・チャンピオンも出てくる大会。米国は今年、トータルで50人の参加があるとの情報を得ており、大変なことは覚悟しているが、「シニア世界選手権での日本選手の活躍を見て、今大会の選手も刺激されている。一人でも多くの選手が表彰台に上がれるように全力でサポートしたい」と言う。
連盟の吉田義勝会長は所用で見送りに来られなかったため、岡田監督にメッセージを託し、同監督が選手に伝えた。
「世界ベテランズ選手権選手団の皆さん、大会参加にあたっては各々がしっかりと目的と目標を描いてこれまでに培ってきたパフォーマンスを存分に発揮して下さい。ただし、決して無理をしないこと。勝ち負けだけが全てではないので、諸々の経験をし、肌で感じとって色々なことを学んで来て下さい。そして、それを、それぞれの持ち場、立場でマスターズ・レスリングの普及・発展のために継承して行って下さい。元気な姿で成果を持ち帰ってくることを待っています」
チームで唯一、昨年に続く参加となった藤本健太(前述)は「去年の初戦敗退は悔しかった。『何とかなるだろう』という甘い気持ちがあった。負けたときから、今年の出場を目指していた」と、昨年の雪辱と2019年大会に続く2度目の優勝が目標。
仕事の合間をぬって関大で練習を積み、自身の運営するキッズ教室(IKUEI WRESTLING CLUB)で選手の指導をやりつつ、自分自身も鍛えてきた。「しっかり準備してきたので、あとは持っているものを出して、結果に結びつけたい」と言う。
三恵海運というオリンピックを目指す選手を抱えているチームの監督だけに、選手の気持ちを知るためにも、実戦を経験していきたいと言う。「自分がやってこそ、選手の気持ちをリアルに感じ取り、選手の辛さを共有できると思います」と話し、指導に役立てるためにも毎年の出場を目指す予定だが、「来年があると思ったら、今年頑張れない。1年は長いので、今に全力を尽くします」と、必勝を期した。
2日前に終わった国民スポーツ大会(滋賀・栗東市)で、教え子(松本倖希=男子グレコローマン92kg級)を優勝させ、息つくひまもなく出発するDivisionE(56~60歳)70kg級の山下勝(石川・志賀高教)は、全日本マスターズ選手権には今年1月に10回出場を果たしたが、この大会には初出場。以前から出たい大会だったものの、国体(現国民スポーツ大会)と重なることが多く、日程がわずかにずれた今年、やっと参加が実現したと言う。
全日本マスターズ選手権では何度も優勝しているが、世界での闘いは「やってみないと分かりません」と苦笑い。高校生との練習で、体力がかなり落ちていることは感じ、今年のインターハイ71kg級2位の大門大翔には「まったく勝てません」と言うが、かつて大学王者やアジア2位になった技術は健在。「教え子が国スポで優勝しました。その勢いをもらって、優勝を目指します」と気合いを入れた。
大会スケジュールと日本選手団は下記の通り。
※敬称をつける立場の人もいますが、大会記事であるため、敬称は略します
10月7日(火)Div.B・E全階級(1回戦~決勝)
8日(水)Div.C・D全階級(1回戦~決勝)
9日(木)Div.A全階級(1回戦~決勝)
【監 督】岡田英雅(全日本マスターズレスリング連盟理事長)
【コーチ】宍戸将春(全日本マスターズレスリング連盟事務局長)
【帯同審判】土居克也(愛媛・今治工高教)
【出場選手】
▼Div.A 78kg級 阿部洋志(いわき市レスリング教室)
▼Div.A 78kg級 見浦慎亮(自衛隊岡山地方協力本部)
▼Div.B 62kg級 藤本健太(三恵海運)
▼Div.C 62kg級 栗尾直樹(住谷道場)
▼Div.E 62kg級 粟田義信(巻っずレスリングクラブ)
▼Div.E 70kg級 山下 勝(石川・志賀高教)
▼Div.E 88kg級 加藤秀朋(静岡クラブ)