昨年のパリ・オリンピックでの連覇はならなかったが、銅メダルを取り、2028年ロサンゼルス・オリンピックでのリベンジを誓う須﨑優衣(千葉・キッツ)が女子53kg級に出場。約1年2ヶ月ぶりの実戦に臨み、初日は学生選手相手に順当勝ちしたが、2日目の初戦、準々決勝でこの階級の全日本チャンピオン、清岡もえ(高知・育英大)に1-2で敗れ、ほろ苦い復帰戦となった。
須﨑の日本選手への敗戦は、2019年7月の世界選手権代表決定プレーオフでの入江ゆき(自衛隊)以来、6年2ヶ月ぶり。
試合はトップ選手同士の試合にありがちな一進一退の攻防となり、須﨑が先にアクティビティタイムで1点を取り、第2ピリオドは清岡が同じように得点して1-1。このままではラストポイントを取った清岡の勝ちとなるため、終盤、須﨑が攻撃を仕掛けたが、清岡が腕をからめてバックに回ることを許さず、無得点でタイムアップ。須﨑陣営のチャレンジは認められず、清岡に1点が入り、スコアは1-2となって敗れた。
千葉県の監督やコーチ、JOCエリートアカデミー時代から指導を受けた吉村祥子コーチとの長いミーティングのあと、5位の表彰式を経て報道陣の前に現れた須﨑は「接戦になって、最後取りきれなかったのは、やはり悔しい。こういった試合を自分の勝利につなげられなかったのは実力不足です」と、声をやや震わせながらも気丈に対応。
最後の片足タックルでポイントにつなげられなかったのは、「処理の部分で判断ミスをしてしまいました。(腕を)持ち替えて処理したり、立ち上がったりするべきでした。残り時間が少ない中で、判断ミスをしてしまいました」と振り返った。前半からもっと攻撃するべきだったとも反省したが、「組み手が練習通りにできなかった面はあります」と言う。
それれは、1年2ヶ月のブランクも影響しているのか? 「久しぶりの試合。やはり練習とは違いますね。緊張する部分もありました。そういうことを含めて、これが今の自分の実力。ギャップの原因を探し、課題をつぶしていきたい」と現実を受け止めて課題の克服を誓う。「(12月の)全日本選手権で、しっかりと復活のスタートを切れるようにしたい」と言う。
周囲の注目は全日本選手権からの階級。この大会は50kg級がないので53kg級に出場したが、パリまでと同じ50kg級で次を目指すのか、階級を上げて目指すのか。その問いには「この大会を終えてから考える予定でした。(体重的には)どちらでも行ける状況です。この結果をふまえてチーム内でしっかり話し合って決めたい」と言う。
53kg級だったことで、相手選手が「重い」と感じることはなかったとのこと。こちらの階級に出たらライバルが少ない、といった外的な要素で階級を決めることはなく、「自分が最高のパフォーマンスを出せる階級」が、今後の階級を決める唯一の要因だという。
「どんな試練があっても、ロサンゼルスで金メダルを取るという気持ちは変わらない」ときっぱり。あと3年間、「思う通りにはいかないときもあるかと思いますが、あきらめることなく、こうした敗戦も悔しさも、すべて自分の力に変えていきたい」と話し、ロサンゼルス・オリンピックへの思いを話した。