世界レスリング連盟(UWW)は公式ウェブサイトで、クロアチア・ザグレブで行われた2025年世界選手権と並行して初めて開催されたUWWカンファレンスを報告。幅広い分野にわたって、レスリングの発展について熱い議論が行われたことを報告した。
パネルディスカッションでは、新しい種目や関連スタイルについて議論が交わされ、アマチュアMMA(総合格闘技)とビーチ・レスリングが、今後のUWWの大きな存在を占める可能性が示されたという。
UWWでレスリング・スタイルを統括するオヌール・シムセク氏(トルコ)は、MMAを「私たちの古来の財産であるパンクラチオンの現代版」と位置づけた。パンクラチオンとは、古代オリンピック(紀元前776年から約1200年続いた現在のオリンピックのルーツ)でレスリング、ボクシングとともに行われていた競技で、レスリングとボクシングを合わせた闘い。
同氏は「技術的に言えば、MMAはレスリングであり、パンクラチオンはレスリングであり、伝統的なスタイルはレスリングであり、グラップリングはレスリングそのものです」と主張。これらのスタイルを統括することが重要だとし、 「私たちは、これらすべてのスタイルを統括していきます」と、世界中で行われている“レスリング”と呼べる格闘技をまとめることを提案。
UWWのネナド・ラロビッチ会長も「将来、プロのMMA大会に参戦する選手を育成したい。そのため約1年前に新しい部門を設立しました。私たちはこれを『プロテクション付きアマチュアMMA』と呼んでいます」と話した。
ビーチレスリングについては、ポルトガル・レスリング連盟会長であり、UWWのビューローでもあるペドロ・シルバ氏が、ここ数年、、ビーチの発展に尽力してきたことを強調した。同氏の発案によって、ビーチは年1回の世界選手権ではなく、年数回の世界ツアーを実施し、選りすぐられた選手がファイナル大会で世界チャンピオンとなるシステムが導入されている。
同氏は、ビーチレスリングは「レスリング・ファンだけでなく、レスリングを全く知らない人たちにも分かりやすいルール」と、レスリングの普及に大きな力になることを主張。
セネガルのダカールで開催される2026年ユース・オリンピックではビーチレスリングが実施されるが、同国の伝統レスリングはビーチレスリングに近いものであり、開催国における伝統レスリングの人気の高さからして、「テレビやソーシャルメディアでも大きな反響が期待できる」と主張した。