(文・撮影=樋口郁夫)
【9月11日(木)】
2025年世界選手権へのスタートは、羽田発が深夜1時30分のアシアナ航空。布施鋼治記者、保高幸子カメラマンとの移動なので、とにかく安いフライト料金を探し、羽田~ソウルを別に買って、ソウル~フランクフルト~ザグレブを分けて買うと22万円。約30時間の旅になりますが、日本チームが使うポーランド航空だと32万円を超えます。この違いは大きい。
そのため、ソウル着は午前4時半で、眠いの何の。でも、うわさではあったアブデュラシド・サデュラエフ(ロシア)にビザがおりずに不参加という米国レスリングサイト「Flo WRESTLING」のニュースに遭遇。パッと目が覚め、パソコンに向かって記事を書くのは記者の習性、性(さが)ですね。
ソウルでは約6時間の滞在。ルフトハンザ航空のチェックインが始まって中に入り、プライオリティパスの使えるラウンジへ。楽天のプライオリティパスは、食事のあるラウンジでは使えなくなったので、それをやめてアメリカンエクスプレスのプライオリティパスに変えたばかり。1万1,000円なので、3回くらい使えば元がとれる。
しかし、アメリカンエクスプレスのパスも、この秋には一回ごとに有料になるとか。せっかくゲットしたのに、今回限りの使用となるか。
フランクフルトまでは約13時間のフライト。出発前のフライトマップを見たら、ロシア上空を通るみたいだったの心配でした。睡眠不足でしたが、意外に寝られないのは、そのせいか(のわけない)。それでも、しばらくすると熟睡。起きて飛行の軌跡を見てみると、カザフスタン上空のロシアよりかなり南方を通っていました。
▲中国上空を通っていると、懐かしい都市の名が。武漢は2005年アジア選手権の開催地、太原は2008年ワールドカップの開催地(吉田沙保里選手の連勝がストップ)、西安は2019年アジア選手権の開催地(伊調馨選手が敗れる)、杭州は昨年のアジア大会開催地。2006年世界選手権開催地の「広州」も映ってましたが、消えて「太原」が出てきました
キーウからも約1,000km南の場所。その分、時間がかかり、天候などのアクシデントもあったのでしょう、1時間半くらい遅れて、フランクフルト。そのため、本来なら十分に時間があって使う予定だったプライオリティパスを使う時間はなし。損失はないのだけど、「もったいなかった」という気持ちになるのは、貧乏性だからでしょうね。
「スカイスキャナー」で調べると、ポーランド航空でワルシャワ乗り換え50分なんてコースをときたま見かけますが、これはやめた方がいいです。国際線の乗り換えは、最低2時間、余裕をもって3時間以上あるコースにするべきです。
フランクフルト空港では、バスで飛行機まで移動。外の空気に触れると、けっこう寒かった。南にあるザグレブはもう少し暖かいことを願って、約1時間の飛行。今回の宿舎はホテルではなく、会場から徒歩数分のウイークリーマンションのような施設。貸主さんがタクシーの運転手をやっているそうで、無料で迎えに来てくれて助かりました。
宿に着いたのは午後11時で、日本時間は午前6時。約29時間の旅は疲れました。宿は2部屋+ダイニングのあるウイークリーマンションで、布施記者と同宿。ホテルのツイン部屋なら、歯ぎしり防止のマウスピースが必要だけど、部屋が違うのでその必要もなし。
シャワーを浴び、ちょっとしたパソコン作業をして(これも記者の習性ですね)、0時すぎに就寝。別マンションに泊っている保高カメラマンに「無事チェックインできた?」とラインしても返事なし。もう白河夜舟か(意味や由来が分からない人は、調べましょう^^)
【9月12日(金)】
11時くらいまで寝る予定だったのが、朝8時前に目が覚める。荷物の整理やなんやらのあと、布施記者と会場近くのショッピングモルを視察。なかなか飲食店エリアにたどるつけなかたけど、やっとフードコートを見つける。朝10時開店の店もあったので、客はまばら。会場そばだから、何日かのお昼はここで食べられるか。
そのあと、この日到着する成國琴音カメラマン(MTX GOLDKIDS)の泊るマンションの鍵を受け取りに行く。夜の到着なので、貸主の手数を煩わせないように代わってゲット。自分たちの部屋よりこじんまりとしているけど(チェックイン後なら、女の子の部屋は除きませんよ^^; チェックイン前だから、貸主と一緒に入っていろんな説明を受けたのです)、一人だから、ちょうどいい広さでしょう。
そのあと、布施記者とともに午後3時から市内の大きなホテルであるUWWの前日会見へ。一番近くのトラム(路面電車)の駅から目指す方向の電車に乗る。無人駅でキップも売っていない。はっきり言って、ただ乗りもできるけど(時に監視が来て、ばれたらすごい罰金を請求されるらしいです)、気が引けるので、運転手に20ユーローを出して「キップを買いたい」との意思表示。
1回1ユーローもしないので(キオスクで買えば0.53ユーロ、車内なら0.8ユーロ)、2人でも2ユーローもいかない。運転手はお釣りかなかったんでしょう、面倒くさそうに「後にしろ」との表情。ま、いいか、と思って乗っていると、どこかの駅でUターン、同じ駅に戻ってきた。
「14」と書いてある電車に乗らなければならないのに、たまたま来た「2」の電車に乗ってしまったのが失敗だった。折り返し駅になっても、運転手も何も言わなかったし、そのまま乗っていたら戻ってしまったのです。運転手に「ミステーク」と言って下り(もちろんお金も払わず)、今度こそ「14」の電車へ。布施記者から「元鉄オタ(鉄道オタク)の樋口さんらしからぬミスですね」と言われましたが、それは小学生の頃の話ですからね…。外国の鉄道には通じないですよ。
20ユーロでは、また迷惑がられると思ったので、後ろの方の車両に乗り、そのままお金を払わずに目的地に着いて下りました^^; 払う意思はありましたからね! でも、皆さんは真似することなく、トラムには小銭を持って乗ってくださいね。
会場場では、UWWコーディネーターのゴードン氏や、UWW公式ウェブサイトのビネ記者(インド)、マランツ記者(東京在住)と再会。いよいよ世界選手権が始まるという高揚感が出てくる。遅れて保高幸子カメラマンが到着。「トラム、お金払った?」と聞いたら、「払いましたよ」との答え。「どうやって?」と聞いたら、「運転手に80セント、渡しました」。
こちらは20ユーロだったから、受け取ってくれなかったんだ。小銭を持っていたあたりは、さすがだ。いつ両替したんだろ。最近は日本でもキャッシュレスが多い。外国では、なおさら現金は使わないけど、ケースバイケースで現金を使い、お釣りをもらって小銭も持っていなければならないですね。
ま、「払う意思は見せたんだから(2度目も払う意思はありましたけど、嫌がられて時間を費やすばかりと判断したのです)、不正乗車じゃないよね」とごまかす。「帰りはキオスクで買いましょう」と言われ、その通りにしました。
喫茶店でコーヒーを飲んだあと、2人と分かれて、私は成國琴音カメラマンを迎えに市内のバスターミナルから空港へ。事前のラインで「空港で、三つ指ついて待っています」と送ったけど、今の若い子、こんな表現、知っているかな? もう死語のような気がする。若い皆さん、知っていますか?
空港ではかなり時間があったので、パソコンを開く。時間さえあればパソコンを開く生活、いつまで続くのだろうか。21:20着のルフトハンザ航空で予定通り到着。
普通のタクシーを使うより、Uberタクシーを使った方が安いので、事前にスマホでしっかりと準備していたのに、なぜが動かず。最後のボタンを押しても画面が変わらない。なぜ? こんなみっともない話はない。どこかのチームを迎えに来ていたスタッフが、こちらがレスリング関係者と思ったのか声をかけてきて、「一緒に乗っていってもいいよ」と言ってきた。あと30分くらい待たないとならないし、時間通りに来るかどうか分からない。方向も違うかもしれないので、ていねいに辞退。
仕方ないので、空港前にいるタクシーに向かうと、自分のスマホをいじっていた成國カメラマンが「できました」と言ってきて、予約してくれました。「なんで」と思って、私のスマホを見ると、何と、動いているではないですか! 到着ロビーの奥の方にいたので、wifiがうまく届かなかったのか。理由は分からないが、もう予約完了で、3分で到着するみたいなので、それを使うことにした。「これだから、おじさんはダメなのよね~」という空気がひしひしと伝わってきて、肩身が狭いタクシーの中でした。
マンションに着き、エレベーターで昼間案内された2階の部屋へ。しかし、鍵を回せども、ドアが開かない。なんで? 確かに廊下の一番端のこの部屋だったのに…、と考えていたら、もしかしたら、この下の部屋かもしれない、という考えが浮かんだ。
鍵を受け取ったときは、スーツケースがあるわけではないので、貸主さんと一緒に階段で1階分を上がったので、そこが2階と思い込んでいたんです。しかし、ヨーロッパでは地上階が「0階」で、次から1階、2階と数えるところが多いんです。エレベーターに乗って「2階」を押したので、日本の感覚で行くと3階に行っていたんです。部屋に「201」とかの番号はなく、クロアチア語が書いてあるだけだったので、そこだとばかり思っていました。
階段で下の階に行くと、そのフロアにマンションの玄関がなかったので間違いに気がつきました。正しい部屋に行って鍵を差し込むと、きちんと開きました^^ 最初の部屋に、たまたま人がいなかったのでよかったのですが、だれかが在宅なら、不審者と思われて警察に通報されたかもしれない。
私のもたもたで、10分以上は無駄にしましたね。本当に、国際感覚のないおじさんはダメです^^; 自覚しているだけ、ましでしょう^^ ま、いろんなことがあるのが海外です。明日からの世界選手権、頑張ります!
《続く》