米国のレスリング専門サイト「Flo Wrestling」が報じたところによると、オリンピック2度優勝で男子フリースタイル97kg級にエントリーしていたアブデュラシド・サデュラエフ(ロシア)がクロアチア政府から渡航ビザの発給を拒否され、世界選手権に出場できなくなり、世界レスリング連盟(UWW)もこの事実を認めたという。
ロシアは、ウクライナ侵攻によって資格停止処分を受けているが、UWW公認の大会に中立選手として、中立旗の下で出場が認められており、同選手は昨年の非オリンピック世界選手権は92kg級に落とし、3階級にわたって6度目の優勝を遂げた(オリンピックを含めて8度目の世界一)。
同サイトは、ロシアの報道筋の情報として、今回のビザ発給拒否は昨年の欧州選手権開催前の申請手続きの不備が原因とのことだが、それ以上の詳細は報じていない。同選手は92kg級の世界チャンピオンだが、97kg級のシード選手ではないので、同級のシード順に変更はない。
同選手は今後59ヶ月間、ヨーロッパのシェンゲン協定圏(欧州29ヶ国が加盟)への渡航を禁止されると報じられており、それが事実なら、今後、ヨーロッパ諸国で開催される大半の国際大会への出場は不可能となり、アルバニアやセルビアなどのみ出場できることになる。
来年の世界選手権はスロバキアとバーレーンが候補で、今回の世界選手権の期間中に決まる可能性がある。前者なら、来年も不可能となる可能性が出てくる。
なお、他にもロシアの数選手に現在もビザが下りていないとの非公式情報がある。昨年のパリ・オリンピックでは、ロシアの一部の選手のみに出場が認められてことに対して、ロシア・レスリング協会が反発して全員を出場させなかった(表向きは本人の辞退としているが)。今大会もロシアがらみで騒動が起きる可能性が出てきた。