(取材=布施鋼治)
8月30・31日、三重・四日市市総合体育館において第1回藤波朱理杯三重県少年少女選手権が開催された。大会には幼年の部から中学生まで「71クラブから476選手参加」という大規模な大会となった。
開会式で藤波俊一・競技実行委員会委員長から、後日、東海テレビで大会の模様が放送されることが明かされ、さらにキッズ・レスリングが始まる前には障がい者同士のエキシビションマッチが1試合実施された。
大会初日、藤波朱理は記者団の前で大会に対する思い、そして目前に迫ったU23世界選手権(11月セルビア)への思いを語った。
──藤波朱理杯を通して、子供たちに実戦の機会を経験をさせてあげたい、という気持ちでしょうか?
「そうですね。自分も小さい頃に負けた試合は記憶に残っています。そういう経験をしながら、“負けて悔しい”、逆に“勝ってうれしい”という思いをしながら、ここまでやってこられた。そういう機会を子供たちに少しでも提供できたらと思って、この大会を開催しました」
──連勝中の藤波選手でも、子供の頃の負けた記憶は結構残っているのですね?
「負けた記憶の方が多いですね」
──他の競技でも競技者の冠がついた大会は増えています。ちょっと恥ずかしいという思いは?
「恥ずかしくはないけど、これ(大会特製Tシャツ)はちょっと恥ずかしい(微笑)。でも、思った以上に選手も集まってくれたし、本当にありがたい。感謝しています」
──藤波朱理杯ならではのこだわりは?
「やっぱり、東海テレビさんで放送してもらうこと(9月28日深夜、東海テレビの30分枠で今大会の模様が放送予定)、そして障がい者レスリングの試合は新しい試みだと思います」
──来年はアジア大会が名古屋で開催されます。ほぼ地元で開催される大会で自分のレスリングを子供たちに見せたいという思いは?
「もちろん、あります。自分の競技人生の中で地元に近い名古屋で行われるということは、最初で最後だと思う。そこにかける思いはパリ・オリンピックと同じくらい強いです。アジア大会で自分が活躍して、地元の人だったり子供たちに見せられたらいいな、と思っています」
──いまトライしている、57㎏級での挑戦に難しさを感じることは?
「やっぱり4㎏の差は本当に大きいと感じますし、難しいことでもあるけど、それより楽しさの方が大きくて、自分の中では、53㎏級の自分と毎日闘っている感覚です。53㎏級のときの自分を超えたい。今はそういう思いの方が強い」
──57㎏級に挑戦するために休む決断をしたと言っていました。今後のためには必要な決断だった?
「はい。休むということも難しい決断でしたけど、この期間をしっかりと強化にあて、もう一度自分と向き合ってやっていく方が、今後の自分に活きてくるんじゃないかと思いました。この決断がよかったと思えるように、10月のU23世界選手権、12月の全日本選手権と強い自分を意識できるように頑張ります」
──U23世界選手権に向けて、コンディションは何%くらいまで仕上がっている?
「久しぶりの試合になるし(現時点での最後の試合は今年4月のジュニアクイーンズカップ)、57㎏級では初めての海外での試合になるけど、自分の中では強化してきたレスリングを試したい、そして12月につながる試合がしたい、というふたつの思いがある。(具体的に)何%というのは難しいけど、ワクワク感の方が強いです」
──現在は専任スパーリングパートナーの山口海輝さん(2023年アジア大会・男子フリースタイル65㎏級銅メダリスト)と一緒に練習する機会が多い?
「そうですね。日体大での練習、田南部力さん(日体大女子監督)との練習、そして山口さんとの練習と、本当に皆さんに囲まれながら楽しくできている感じです」
──山口さんとはどんな練習をすることが多い?
「山口さんとは実際に組み合ったりする機会も多いので、組み合いながら教えてくれたり、海輝さん自身の感じ方で教えてくれたりもするので、ありがたい。まだ(現役と変わらず)ガチガチにできる方なので、より強度の高いスパーリングができていると思います」