2025.08.06

U17世界選手権(ギリシャ)出場の男子フリースタイル・チームが帰国

 ギリシャ・アテネで行われた2025U17世界選手権に出場した男子フリースタイル・チームが8月5日、成田空港に帰国した。昨年はなかった金メダルを1個取り(55kg級・小此木仁之祐)、銀メダルも1個(60kg級・日浦璃毘兎)。2011年から続いているメダル獲得の伝統を守り、国別対抗得点は5位だった。

▲金メダルの小此木仁之祐(右)と銀メダルの日浦璃毘兎

 園部竜也監督は(福井・若狭東高教)「初めての国際大会という選手もいた中、世界との差はそんに感じなかった。少なくとも技術面では差はなかった」と言う。軽量級を中心に、組み手などは上回っており、有利な組み手から崩してタックル、というパターンがよくできていたと言う。

 ただ、思い切りのよさや粘り強さという点では外国選手の方が強く、返し技のうまさもあったという。日本選手のタックルを警戒してなかなか攻めず、日本選手がタックルに来たところをうまく返すシーンがいくつもあり、「こうした部分の修正が世界で闘うには必要だと思った」と言う。

 中量級と重量級は、フィジカルの差も感じられた。パワー十分の選手に対しても、日本人特有の組み手のうまさが通じるようになれば、「もっと優位な試合展開をつくれる」と言う。

 優勝した小此木については、落ち着いて自分の試合展開をつくれたことを評価。銀メダルの日浦は、初めての国際大会ということで決勝では緊張感が見られ、足が止まっていたと言う。小此木は昨年の大会の51kg級で3位に入っており、経験の差が出た形。試合だけでなく、外国選手との練習を重ねる必要性を訴えた。

警戒されていた日本選手のタックル

 鴨居正和コーチ(宮崎・櫻美学園高教)「日本選手のタックルは警戒されていましたね」と分析。それもあって、タックルで取り切れたシーンが少なく、相手の重心を崩せなかったりでポイントにつなげられなかったそうだ。その中で、決勝に進んだ2選手は組み手で追い込み、そこから攻めるなど攻撃のレパートリーが多く、それがよかったと言う。

 自身がコーチのチームの選手である小此木が優勝したことについては、「私が教えた、というより、自分で学び、自分で練習した成果です」と謙遜。逆転となったがぶり返しは、いつも合同で練習している南九州大の竹田展大監督の直伝だそうで、「見事にさく裂しましたね」とうれしそう。

▲昨年の51kg級銅メダルに続いて55kg級で優勝の小此木仁之祐は、所属のコーチでもある鴨居正和コーチと喜びを分かち合った=UWWサイトより

 その小此木仁之祐(宮崎・櫻美学園高)「この大会に照準を合わせて練習してきたので、優勝できてよかった」と、うれしさを表した。決勝の相手は力が強く、下から巻いてくることを知っていたが、耐えられず先制されたが、「4点差なら返せる」と信じて闘い続けたと言う。

 55kg級に上げて間もなく1年。大きな違いは感じないそうだが、力は強い選手が多いので、スピードで上回ることを目標に練習してきたと言う。来年はU20世代になるのが、「来年も優勝できるように頑張りたい」と、世界連覇を誓った。


 ■60kg級2位・日浦璃毘兎(福井・敦賀気比高)「初めての国際大会。メダルを取れるとは思っていなかったので、取れてびっくりしています。コーチの指示通りに闘ったら、決勝まで行った、という感じです。決勝まで行ったら勝ちたかったですが、自分のペースで試合ができなかった。相手の開始からの攻撃力がすごかったと思います。それの修正と、こうした舞台でも緊張しないで闘えるようにすることです。来年もU17ですが、今度は優勝したい」