2025.08.04NEW

U17世界選手権(ギリシャ)出場の女子チームが帰国

 ギリシャ・アテネで行われた2025年U17世界選手権に出場した女子チームが8月3日、成田空港に帰国した。「金1・銀2・銅2」を獲得し、金メダルの伝統は続けたが、国別対抗得点はインド、米国に続いて3位。金メダルの数では中国の3個には及ばず(インド、米国は2個ずつ)、巻き返しが必要な現実に直面した

 初めてこの世代の遠征に同行した伊調馨監督(ALSOK)「全体的に、体の強さを鍛えた方がいいと感じましたた。みんなレスリングが好きなので、レスリングの練習は山ほどやっていると思いますけど、海外の選手はフィジカルの強さ、向上心、負けん気の強さといったところで上回っていました」との感想。技術的には日本選手が上回っていても、その部分で飲まれた面があったそうだ。「レスリングも大事だけど、それ以上に体力、メンタルを鍛えるべきではないかと思います」と言う。

▲初めてU17日本代表チームに帯同した伊調馨コーチ=UWWサイトより

 金1個だったものの、メダルを取った選手は「闘い方次第では金を取れたと思う」と振り返り、大きな差はないと感じたそうだが、インドなどの躍進には警戒感も感じている。先月、社会人選手と一緒にインドに行って、その実情に接し、U17世代がトレーニングセンターに住み込んで練習し、イランのコーチから指導を受けるなど強化に力を入れていたという。日本も、U17世代で集まって練習する機会を望んだ。

 U17アジア選手権に続く参加となった赤坂美里コーチ(千葉・野田中央高教)は、メダルマッチにからむ試合をしっかり勝ってくれたことを評価する一方、伊調監督と同じく、「アジア以上にフィジカルの差を感じた」と言う。日本でならかかる技がかからなかった、という選手がかなりいたので、「そこが今後の課題になるでしょう」と話した。

 インドの猛威は続いていたが、米国や中国も強く、マークするのはインドだけではないとも感じた。アジアで勝ちつつ、世界の国別対抗得点でも勝つには、全体的な底上げが必要と感じたと言う。

▲成田空港での最後のミーティング

高校のチームメートの踏ん張りに刺激を受けた…大矢華乃

 唯一金メダルを取った46kg級の大矢華乃(東京・自由ヶ丘学園高)は「正直、まだ実感がないのですが、目標としてきたウィニングランと表彰台の一番高いところに乗ることができたのは、とてもうれしいです」と言う。 6月のU17アジア選手権での前田悠樹(男子フリースタイル51kg級)、先月のU20アジア選手権での小川舞(女子50kg級)の高校のチームメートが優勝し、自由ヶ丘学園がインターハイの学校対抗戦を制し、「自分も優勝して帰られなければいけない、という強い気持ちがあったのが一番の勝因だと思います」と振り返った。

 技術面では、「自分の動きができた試合もあったけど、準決勝、決勝は相手も強く、思うようにはいかないこともあった」との反省も。10月のアジア・ユース大会(バーレーン)にも出場予定なので、課題を克服し、「そこでも優勝して帰国できるように練習を頑張りたい」と結んだ。

▲メダル獲得選手。左から棚田紗雪、小川璃苑(以上銅)、大矢華乃(金)、中西杏、片岡優(以上銀)


 ■40kg級2位・中西杏(三重・いなべ総合学園高)「小さい頃から目標にしていた世界選手権に出場できてメダルを取れたことはうれしかったのですが、やはり優勝したかった。負けた試合は、自分の得意なタックルが一回も入れず、止められてしまいました。10月のアジア・ユース選手権にも出場予定なので、(負けた相手が出てきたら)リベンジして今度こそ優勝したい。来年の世界選手権は優勝したいので、国内ではすべて勝っていきたい」

 ■49kg級2位・片岡優(千葉・日体大柏)「優勝を目指していたので悔しい部分はありますが、世界2位は率直にうれしいです。(決勝の相手の米国選手は)手足が長い選手だったので、そうした選手相手の対処方法ができていませんでした。(U17アジア選手権は2度出場しているが)世界は初めてだったので、ヨーロッパや米国選手相手の対策が足りませんでした。次の大会は10月の全日本女子オープンになると思います。優勝します」

 ■53kg級3位・小川璃苑(岐阜・中京高)「金がよかったので、めっちゃうれしい、という気持ちはないんですが…。これから、もっと練習してどの大会でも金メダルが取れるようにしたい。負けた試合は、残り数秒まで勝っていましたが、練習不足と気持ちの甘さで逆転を許してしまいました。最後まで集中力を切らさないよう鍛えたい。まずは10月の全日本女子オープン選手権へ向けて、1から練習し直します。来年の世界選手権こそ優勝できるように頑張りたい」

 ■57kg級3位・棚田紗雪(兵庫・芦屋学園高)「初めての国際大会で、最初は不安や緊張が大きかったのですが、試合を重ねることで自分のレスリングができるようになりました。メダルを持って帰って来られたことは、うれしいことですけど、金メダルを取りたかった。負けた試合は、序盤から相手のペースに持ち込まれ、第2ピリオドに首投げを受けてフォール負けです。もっと自分から攻めていれば流れが変わっていたかもしれない。課題を直し、たくさん練習し、これからも国際大会に出たい」