学校対抗戦で優勝を逃した日体大柏(千葉)から、個人対抗戦・女子で2選手が優勝した。53kg級の小岩芽以(こいわ・めい)と57kg級の木村美海(きむら・みうな)。小岩が2連覇を目指す小塚菜々(三重・いなべ総合学園)を試合終了とほぼ同時くらいに逆転勝ちし、木村が昨年の2024年U17世界選手権2位の筒井双(福島・ふたば未来学園高)を撃破。ともに殊勲の優勝だった。
小岩の決勝の相手の小塚は、昨年、1年生チャンピオンに輝き、日本選手には2021年11月の全国中学選抜選手権を最後に、4年半、負けていない。その間、U15アジア選手権優勝、U17世界選手権2位と国際舞台でも台頭している。
それだけに、小岩の優勝後の第一声は「びっくりしました」-。終了間際の攻防は、「無理かな、とも思いましたけど、いつも監督から『最後までやり切れ』と言われていたので、最後まで頑張れました」と言う。3点をリードされたときは、「きのうもリードされた試合がありました。焦らずにいこうと思いました」と、前日の苦戦が役立った勝利でもあった。「高校最後のインターハイでしたので、優勝できて本当にうれしいです」と喜びを表した。
全国大会での優勝は、千葉・松戸ジュニア時代の2018年ジュニアクイーンズカップ(キッズの部)以来、約7年4ヶ月ぶり。小塚とは実績が大きく違い、これまでの対戦でも勝ったことはないと言う。「緊張していましてけど、怖がらないでいこう、と思いました」と言う。
同高でレスリングをやっていた兄(皆人=2022年U17アジア選手権2位)を頼って中学時代に練習に参加させてもらい、進学して入部した。強豪チームということは当然知っていて、「怖い」という気持ちもあったそうだが、入部してみると、「監督や先輩が優しく、ていねいに教えてくれたので、やってこられました」と笑う。
大学でもレスリングを続ける予定。U17世界2位の選手を破ったのだから、世界への飛躍も現実のものとして見えてきた様子だが、今年6月の明治杯全日本選抜選手権に初出場したときは、初戦で志土地真優(ジェイテクト)と当たり、「全然歯が立たなかった」と壁の高さも痛感している。それでも、12月の天皇杯全日本選手権では「表彰台を目指して頑張りたい」と目を輝かせた。
小岩の優勝を見て直後にマットに上がった木村は「ずっとこの大会にかけていて、優勝が目標でした。とてもうれしいです」と満面の笑み。
小岩の優勝が「大きな刺激になりました」とのことで、他に、男子チームが学校対抗戦で優勝できなかったことで、「自分が優勝して、(1日遅れで始まる)男子の個人戦に勢いをつけたい、という気持ちがよかったと思います」と話した。
決勝の相手の筒井は昨年のU17世界選手権2位で、今年はU20の世界選手権(8月17日からブルガリア)への出場を決めている選手。何回か対戦したことがあり、手の内を研究されていることは想定していた。「その上をいく練習をしてきたのがよかったと思います」という理由も勝因として口にした。
今年6月の明治杯全日本選抜選手権で大学選手や社会人選手を破って3位に入賞しており、実績では筒井に引けをとるまい。「自分も成長しているのかな、と思います」と言う。
小岩と同じく、姉(彩夏=2022年U20世界選手権3位、現法大)と兄(太智=2022年インターハイ3位、現中大)が日体大柏でレスリングをやっており、「もっと強くなりたい」という思いで2人に続いたという。「丸山(蒼生)監督と山倉(孝介)コーチが、いつも寄り添ってくれるというか、いつも見てくれるので、練習を頑張れました」と言う。
卒業後もレスリングを続ける予定。まず「明治杯や天皇杯で1位になれるように頑張りたい。まだ国際大会に出たことがないので、世界選手権やアジア選手権に出られる選手になりたいです」と話した。