キルギス・ビシュケクで行われた2025年U15アジア選手権に出場した女子チームが7月8日、羽田空港へ帰国した。42kg級の古市せら(千葉・野田クラブ)が2連覇を達成するなど6選手が優勝し、「銀2・銅1」を獲得。国別対抗得点はインドからチャンピオンの座を奪還した。
濵口純監督(全国中学生連盟)は「(国別対抗得点で)女子は去年、悔しい負け方をしていたので(インドに5点差で2位)、選手の『勝ちたい』という気持ちは強かったと思う」と振り返る。抽選の結果、ノルディック方式の場合を含めてインドと同じブロックの階級が多く、「インドと勝負」と気合を入れた。
結果として、インドとの直接対戦は9勝6敗と勝ち越し、6階級を制覇。「最悪、3~4階級の可能性も…」という不安が見事に“裏切られた”。ふだんの行動は「普通の女子中学生」にしか見えないのに、「マットに上がると表情が変わって、勝利への執念が強く感じられた」そうで、勝利を目指す選手の気迫を褒め称えた。
2022年に6階級を制したインドは2階級優勝に後退したが、失速というより、インド以外の国(ウズベキスタンなど)が強くなり、インドの独走を阻止したように感じたそうだ。ただ、中国と北朝鮮が不参加で、これらの国がベストメンバーで出ていたら、どんな結果になるかは分からない。「優勝しても、気を抜けません」と警告を発した。
坂本涼子コーチ(兵庫・芦屋学園高教)は「インドを意識していました。決勝は日本とインドの試合が多く、最後まで気が抜けませんでした」と、緊張の連続だったことを振り返る。攻める姿勢が「勝利へつながった」と見ている。優勝できなかった選手も攻める姿勢は持っていたと言う。
数年前から選手に「インド・コンプレックス」が感じられ、自身にもそうした気持ちが少しはあったそうだが、「もう、なくなったと思います。少なくとも、私はなくなりました」と振り返った。
■36kg級・小山実久(兵庫・芦屋学園中)「今まで頑張ってきた成果が発揮できて、とてもうれしいです。みんあの応援のおかげで勝つことができました。タックルに入ってからの処理が甘かった、という反省点がありましたので、そこを克服したい。(決勝は予選リーグせ負けたインド選手との再戦)絶対に勝つ、という気持ちで臨みました。またアジア選手権に出場できるように頑張ります」
■42kg級・古市せら(千葉・野田クラブ)「応援してくれた皆さんに感謝します。今まで練習に付き合ってくれた人たちの力と、自分自身の『最後までやり切る』という気持ちが優勝につながったと思います。海外の選手は力が強いので、かわして入ることができました。相手の力につきあって止まってしまったことがあったのが反省点です。国内の試合でも、しっかり優勝していきたい」
■46kg級・牧野心咲(福島・ふたば未来学園中)「初めての国際大会で優勝できて、うれしいです。いろんな人からの応援や、チームのみんなの存在のおかげだと思います。タックルの返し技を受けてしまったので、しっかり修正したいと思います。次はU17になるので、U17の世界選手権や国際大会でも優勝したいです」
■50kg級・櫻井つきの(高知・高知クラブ)「この大会で優勝できるよう、たくさんの人から指導してもらい、強化していただきました。恩返しができてよかったです。1年前までは、とても弱かったです。先輩や姉(櫻井つぐみ)など多くの人が練習の相手をしてくれ、時間を使ってくれたことで、勝つことができました。自分から攻められたのはよかったです。相手に合わせてしまったことが反省点。来年もU15世代なので、連覇できるよう頑張りたい」
■54kg級・鈴木琳媛(神奈川・KURIMORI FILM)「いつもサポートしてくれている人に金メダルを見せられるのが、とてもうれしいです。いつもと違う環境でしたけど、その舞台を楽しめたことが勝因だと思います。(反省点は)特にないです(微笑)。この経験を生かし、今後も一戦一戦を勝っていきたい。将来はオリンピックに出ることが目標です」
■62kg級・平田萌々美(三重・白山ガールズチーム)「親や監督、チームに感謝です。絶対に勝つ、という気持ちと、周囲の期待によって勝つことができました。初戦はとても緊張してしまったので、次からは、どんな大きな舞台でもいつも通りの力を出せるようにしたいです。今回の結果で満足するのではなく、もっと練習して、アジアだけでなく、世界やオリンピックで勝てるように頑張りたい」